愛しいはずのあなたがいない

 あなたにみつけてほしかった。ただそれだけだったの。私はあなたを探し続けている。暗い夜の闇の中でも、眩しくて目が怖気付く夏の朝にも。いつも、名前なんて知らないから呼ぶこともできずに、それでも探し続けている。でももしあなたも私を探しているとしたら、私は待ってみたほうがいいのかしら。

 日々はリハビリみたいで、なんとなくですっと通り過ぎていくのに、今日もできなかったことばかりが思い出になる‬。聞けなかったあなたの声とか、言えなかった私の言葉とか。しんしんと降り積もって、胸が押し潰されそうだ。あなたが私をみつけてくれたら、私はあなたを甘やかせるのに。あなたの言葉に触れられさえすれば、この胸の痛みも頭の重さも、すうっと軽くなってくれるだろうに。ねぇ、どこにいるの、あなた。ずうっとみつけてくれないなんて、イヤよ。おいで、愛してあげるから。

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