男の愛嬌と女の度胸

 「女は愛嬌、男は度胸」なんて言ったら、今の時代に淘汰されちゃうのかしら。女性蔑視、男尊女卑という言葉を最早聞くこともあまりなくなった。看護婦から看護師になって、主婦がいれば主夫もいて、私たちは生き方を選べるようになったらしい。
 「女だからって愛嬌があるとは限らない」と不満の声をあげる女性には、相応の度胸がある。「男だからって度胸なんてないよ今どき」と弱音を吐く男性には、存分な愛嬌が備わっている。

 度胸も愛嬌も下の上くらいしかない、私はどこにいるのだろう。訪れたのは、愛嬌も度胸もいらない世界ではない。「男女問わず愛嬌も度胸も兼ね備えておくべき」社会だ。
 女の人も働かなければならないし、男の人も家事をこなせなければならない。誰も差別を受けず無理のない生活ではなく、皆が平等に苦労を強いられてしまいかねない。
 得手不得手は人によって違う。それぞれができることをして、協力し合えるのが本当の理想なのか、それとも、突き詰められた理想に追い詰められている今こそが幸せなのか。答えなんてどうせないから、各自捏造するといい。

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