移りゆく今日が、生活のすべてだ。変わらないこの景色が、生活のすべてだ。いつか変わるこの日日と風景が、生活のすべてだ。例えひび割れたとしても、その亀裂が輝いてくれるなら今日も愛そう。今日を愛そう。変われない僕のために、消えていく今日を認めて昨日も包み込んで、明日の世界に投げよう。ぼくは世界だ。世界は僕だ。きみは世界だ。世界は君だ。

 車窓から見える景色のなかの僕がとても何気ない誰かであるように、僕にとっては視界の先の線路こそが味気あるそれで。いつか見たどこかの懐かしい匂いを思い出すように。俯いていても見つけられるなにかみたいに。意味のないものなんてないんだよって、フェンスの向こうの柱に笑う。アスファルトが僕を照り返す。いつもと同じ景色のなかを、いつもよりすこしゆっくり泳ぐ。

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