接着剤が指に癒着するように

「殺される夢をみたわ。あなたに殺される夢。」
「本当ならどうする?」
「それなら本望、なんだけどね。」
「あなたを殺す夢もみたわ。こうしてぎゅっと、首を絞めるの。」
「本当ならよかったのに。」
「そんなこと言わないでよ。」
「君だって言ったじゃないか。」
「あなたにはあなたでいてほしい。」
「君が君であるように?」
「ううん、空に手なんて届かないように。」
「君には薔薇が似合うように?」
「違うわ、雌蕊が花粉を求めるように、よ。」
「君は自己否定感が強すぎる。君は世界に期待しすぎているんだよ。いつも、」
「いつも、世界に絶望したような顔をして?」
「そんなこと言ってない。」
「言わないぶん狡い。」
「じゃあ、」
「結婚しよう?」
「それなら本望、なんだけどな?」
「ちゃんと言ってよ。」
「結婚したい。」
「そう。」
「君は?」
「イヤよ。勿体ないじゃない。」

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