あなたにだけは赦されたい

 いいことをしている人と悪いことをしている人は区別がつかない。こんな時間に駅前でしゃがみこんで何かを拾っていたお婆さんだって、いい人なのか悪い人なのか定かではない。

 そんな話はどうだっていい。あれを寝坊と呼ぶのかしら。とにかく昨日、寝坊とやらをした。情けない。だから何だって話だ。30分ばかり起きそびれた。上司のいうことには、やってしまったことは咎めないけど、もっと深刻そうに謝らなければいけない。と。その理由は、迷惑をかけたから、だと。ふーん、そうかい。わかるよ、言っていることは。正しいとも思う。ただ、謝ってもう成立したはずの私と誰かの関係に、深刻そうにしろという指示はなんなのだろう。もっと反省しろというのならまだわかる。がしかしなんだよ深刻「そうに」って。そんな考え方してる奴が誰かの上に立ったって、決して慕われるものかよ。

 それで書かせた評価表に基づく面談とやらを始めた訳だけど。つい昨日調べていた通り私は人に触られるのが嫌いだ。どうやら強迫観念の一種らしい。触角過敏とかなんとか。でもまぁどちらにせよ、今のこのハラスメントハラスメントとも取れる時代に、わざわざ満を持して肩ぽんぽんとか、普通やるかね。いや、異常でもやるかね。気持ち悪い。求人に社保完備って書いてあったのに月130時間が下限ならそんなの苦し紛れの法令遵守だし。条件で選んだのにそれらを何ひとつとして守らないなら、謝る必要も続ける義務もないってことくらいは分かれ?

 私は器用貧乏らしく、いつかのひょんな診断によると特に向いている仕事はないらしい。ふーん、あっそうですか。ああ、昨日寝入ったころに電話をかけてきた、寝坊の一端を大いに担う某出版社の話でもしようか。いつかの公募に送り付けた私の個人情報を営業につかっているだけでしょうけど。以前ここにも載せたことのある文章なんだけどね。グロテスクで暗い。って言われたの。まぁ確かに、出落ち的な書き出しと取られるかもしれない。だけど、私が生きていくのを後押ししてくれるスっとする文章が、ネガティヴに収まるはずがないじゃない。片手間でバカにしないでよ。分かりもしない私のことを褒めたフリして愉しいね?

 死にたいのに死に方がわからないフリをしているメンヘラの誠は、生きたいのに生き方がわからないという戸惑いだったりする。多分、多分だけどね。だって私メンヘラなんかじゃあないから。あなたの気持ちなんて一生知らないし。

 生理前の6連勤とかやっと来るだろう連休に待ち構えし母親の来訪とか。この世はご褒美だらけだね。背負うものは大きくて重いほどいいらしい。成長期かと思う程の無駄な食欲と大して空いている気もしないお腹との不調和もストレスのせいにしてしまおうよ。

ねぇいつかあなたの悩みも気が向いたなら聞かせてね。誰も幸せにならないような、物語にしてあげるから。

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