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7泊8日

 あなたに見つけられないくらいなら私は死んだほうがマシだ。深い海の底、黒い渦に飲み込まれかけたところで一時停止ボタンを押され、画面に封じ込められている毎日が苦しくないわけがない。それでもただ、あなたが見つけてくれたならそれで救われた。私は結末が欲しかった。だから助かるのにも死ぬのにも理由さえあれば十分だった。もし今すっと死ねていたら、挙句水に浮いた私をあなたが見つけてくれていたら、それが人生の大した意味にもなり得たのに。

 浅はかな希望だね。神は笑う。いつも一方的で滑稽だよ。って民も笑う。それらの不気味な嘲笑に共鳴してみようかと思ったけど、一時停止は永久に解除されない。このままこの機械が壊れて画面が真っ暗になってしまったら、私の結末はどうなるのだろう。勝手に思い、描いていいの?なんでもいいと言われると女は怒りがちだし、自由は不自由だと聞いた。あなたの書いた台本の上を一歩ずつ歩き続けて尽き果てたかった。あなたのなぞった私の台詞を、私も上からなぞっていたい。それだけが願いだったんだよ。叶えて。

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