日記

 華美な照明に照らされるロックスター。ステージの貴方をみていると、子どものころ口に含んでみたティッシュの味を思い出した。
この世になくても困らない味。ライターで焼き尽くしたい味。人工的で、何故か少しだけ懐かしくて、死ぬまでにもう一度確かめておきたい味。

 ギターを掻き鳴らす貴方、生きている項。死にそうなくらいこれでもかと、叫び歌う喉仏。

 音楽が想起させるは不毛な味。おまけに、生まれ育った町の匂い、鉄棒のあとの手の匂い、いつの間にか指に刺さっていた木片。

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