染色セカイ

 目に見えるものすべてが黄緑色に見えた。それは突然私に降りかかった悲劇。周りに話しても信じてもらえなかったり、困らないでしょ?と言われたりで相手にされない。でも、目に見えるもの全てが黄緑色な世界では食べ物だっておいしそうに見えないし、大好きな人だって笑っていても泣いているように見える。

 病院に行くと、ストレスや精神的なものでしょう。と言われた。中学生の頃、帯状疱疹になったときと同じ。体育教師は、まだプールに入れないのか?とか言ってくるし、部活を休む連絡を何度もしなければいけない。私が悪いのだろうか。わからないから余計に辛かったのか、顔に痕が残るのを知っていたからなのか、この性格で生き続ける覚悟をしていたからなのか。またぴりぴりと、音のない痛みが背中を走る。この手は黄緑色の魔物みたい。モンスターになってしまうともうあなたになんて会えない。あなたがよくたってこっちが嫌だから。そう、いつもこうなんだよ。欠伸をした口を、塞ぐなにかが欲しかっただけ。ただそれだけだったのに。

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