あなたごと

 救いを求めて手を伸ばした、あなたの先にあるものはなんだった?誰かの温もりでも自分の冷たさでも、絵を描くためのペンでも文字を起こすためのスマホでもなかったらしい。弾けないまま弦が錆びたギターでもない、あなたの伸ばした手の先の何か。あなたにとっては限りなく透明に近くて素通りしてしまうようなそれが、私にはキラキラと七色に輝いて見えた。隣の芝生にコガネムシ。いやどうせなるなら大金持ち。私のダジャレは宙に舞う。

 私が手を伸ばした先にいた私に似た誰か。触ってみたけど体温のなかったその何かが、あなたの憧れだったりする?なんて、そうだといいなと思っただけ。生理前と生理後で可笑しいくらいに様子が違う私の肌を、剥がすあなたの目が綺麗。

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