LINE

「私たちの話はいつも垂直線よね。」
突然、彼女が言う。
「何それ、どういう意味?」
「そのまんまの意味だよ」
彼女の話す言語は難しい。
「平行線ならわかるけど。」
「平行線だとね、つまらなくて、よかったのかもしれない。」
彼女はいつも核心に触れない。
「行き止まりってこと?」
訊ねると、きみは憂いだ顔をする。
「自分で考えなよ。」
きみはそっぽを向く。
「きみが言い出したんじゃないか。」
なんて、言えるはずもない。
「なぁ、地平線って。」
「地平線?」
きみは僕に向き直る。
「果てなく続いてるって言うけど、きっと嘘だよね。」
きみはこちらをみてつまらなさそうだ。
「私たちの関係は?」
きみは僕を試す。
「僕はきみのこと、大事にしたいと思ってる。」
「思ってるだけじゃダメなんじゃない?」
と、きみは笑う。

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