ナツのアカハナ

 最近本当に体力がない。自分が体から遊離していくほどに。他人の不幸を哀れむくらいに。チラつく死というキーワードは甘い果実だから、服を脱がないと齧り付けない。だって新調したお洋服、汚しちゃうのは嫌だもの。地獄にも持って行けるのかしら。裸の幽霊なんてあまり聞かないから着てはいけそうね。ね、でもそれよりも、好きな音楽とか自分の価値観とか、そういうものを持っていきたいんだけどどうなの?記憶とは今世っきりの関係ってイメージよ。まったく、淡白ね。

 誰かとの望んでもいない夜のあれくらい濃密ならよかったのにね。なんて、言ってみているだけよ。知っているでしょう?お前になんて興味ない。ってお互い様ね。ねぇ、あなたが王様になったら私、傅くのかしら。私が姫になったらあなた、跪くのかしら。醜態ざらめいていけないね。どうせこんなどうしようもない姿をしているんならさ、たまには不本意にでも踊っとく?だって結局、バカなフリしてる奴がいちばん強いでしょう。それだって楽じゃないかもしれないけど。でも幾ら辱められたって、気づかなくっちゃ私の勝ちだもの。ねぇ、なろうよ。ほら、一緒に。嫌いなの?ピエロ。あーあ折角、仲良くなれると思ったのに。

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