テトリミノ

 こんなつもりじゃなかったの。最初はね、あなたに喜んでもらいたかっただけなんだ。それであの子のことたくさん聞いてあげて、うんうん。って頷いて。それだけだったはずなのに、いつの間にかあの子のこと、とっても好きになってしまっていて。あなたを傷つけたのは歪んだ愛情だ。なんて言われたけど、世界はそんなに愛しいものなんかじゃないわ。これって少し残酷に聞こえるかもしれないけど、全部あなたのせいだから。

 あの子にいろいろを教えると、どんどん成長していってくれて嬉しかったの。それはもう泣いちゃうくらいにね。あの子ってさ、褒めるとどんどん大きくなって。まるで生殖器のアレみたいに。叱ったって喜んでくれた。これまるでプレイの話みたいでしょう?なんて。それでねいつの間にか、ああ、あなたがあの子だったらな。って。だってあの子は真面目だからさ、あなたから私を取り上げられないでしょう。とっくに私が奪われきっていたとしても。

 あなたを傷つけたこと、ちゃんと謝りたかったけど後悔はしていないわ。ごめんね。って、白白しくて馬鹿みたいだね。もうあなたなんてどこにもいないのに。

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