サブリミナレ

 読んだショートストーリーが、以前自分の書いた文章に似ていた。それを書いたのがシンガーソングライターの方だと知り、少し嬉しくなった。兼業作家だって立派なそれだし、本業作家の書いた内容に似ていても嬉しいのだけれど。もし私が書く前にその話を読んでいたら書かなかったかもしれないから、順番だって大事だ。

 何か人や物を好きになるのには、ある程度の条件が必要だ。それが自分に似ている/似ていないの二分類が、好みというものを誘発する。それは、好きになる場合にも嫌いになる場合にもとても似ていて、表裏一体だと言える。自分と似ているから好き。と思うこともあれば、自分と似ているから嫌い。と思うこともある。同様に、自分にないものをもっているから、好き/嫌いと、好みは転ぶように変わる。

 そんなこんなの精神のなかで、何かに興味をもっていること、自分の好みがあるということは、人にとって誇るべきことだ。それは好きであることと共に嫌いであることにしてもそうだ。何かを嫌うことは、好むことと同じかそれ以上のパワーを要する。それを好き好んでやっている、できているうちは、私も捨てたもんじゃない。息を吸うために本気で息を吐いて、それが地面に溜まって撥ねて、一喜一憂すればいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?