シロップ

 君の名前を呼びたい。君が、僕を呼んでくれたように。でもなんの責任も取れないから、今日もただ眺めているだけ。黒の髪の匂いも知らないまま、その糸に絡め取られて。なんの責任もないから温かくなるなら、今だけが正義だ。

 ことなかれ主義みたいな顔をして過ごしているけどいつも、心の奥底ではなにかあれと願っていた。なにもないと思っているからこそ、今日も願っていた。そしてなにより君に明日が変わらず来ることを、心の底から願う。実直にただ抱きしめる。

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