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生活感

 私は、生活感がないとよく言われる。思えば、小学生の頃からそうだった。制服登校だった地元の市立中学校に通っていた私は、「私服のイメージがない」と、言われたりしていた。中学校へ進学する少し前、親に買ってもらったちゃんとした自転車に乗って友人と遊んだ際、自転車のブランドにまで「意外」と言われたのは流石に私にとってこそ意外だったが。

それからしばらく経って、高校生になった。高校の同級生の仲の良かった子に、「生活感ないよね」と言われた。私は感情をあまり表に出さず頭で熟考する(若しくは私自身と対話をしがちな)性格で、感情が欠如しているのだろうか。と考えることもあったが、私に足りないのは、どうも、「生活感」らしい。

最近、Twitterで知り合った友人にも、同じことを言われている。その子は私の部屋にも来たことがあるし、つぶやきも見ているけれど、私のことを謎だと言う。

ところで、私は今日、美容院に行った。美容院はあまり得意な場所ではない。しかも初めて行く美容院だ。だが私は今日、満を持して美容院に行った。その美容院で、担当の美容師「さん」が、説明をする際に私のことを「ロングさん」と呼んだのが気になったという話は蛇足である。

さて、私はその美容師さんに、「今日お仕事お休みですか?」と訊ねられた。私は、「はい、そうですね」と答えた。美容師さんは続けて、「月曜日お休みって珍しいですね。毎週決まって休みなんですか?」と私に聞いた。私は彼女に、「いえ、決まってはないんですけど」と答えた。美容師の彼女は、「あっじゃあシフトですか?」と続けたが、私は曖昧に頷くのみで、その会話を発展させることはなかった。普通ならこういうとき、もっと自分の仕事の話をするんだろうな、するべきなんだろうな、と思った。私は無意識に他人に壁を作ってしまうらしかった。

では、私が今日、美容師さんに仕事の話をしなかった、決して素性を明かさなかったのは、私が「生活感のない女」だからでしょうか?

シンキングタイム、

一斉に、解答オープン!

それでは、正解をどうぞ。

私が今日、「それ以上聞かないでオーラ」を出したのは、私が現在、無職だからである。



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