トゥービー

 歩いていた。ふと見下げると、葉っぱが落ちていた。葉は踏まれて雨を浴びて、泣くことも諦めたようだ。僕だって植物の痛みに耽るほど馬鹿じゃないから、その葉はいつまでも報われないらしい。

 ねぇ、生まれ変わったら男と女、どっちになりたい?なんて軽々しく聞くけどさ、生まれ変わりたいなんて生憎思っていないから答えずにいると、そうよね悩むよね。って。面倒臭くて、ちょっとだけ死んでほしいと思ったよ。どうせ死んだとて生まれ変わるつもりらしいしな。

 日々は地続きだね。木々は揺れることをやめない。僕は歩き続けているのに、誰も見向きもしない。都会の喧騒のせいになんてしないよ。だって僕が僕でしかないことなんて、ずっとずっとわかっていたもの。それでも僕は手を振り続ける。だからいつか振り返せばいい。

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