東京03のライブを配信でみた(夜)

 東京03の単独ライブ「ヤな塩梅」を、オンラインでみた。といっても、彼らの単独公演の配信は二度目になるので、今回初めてみたという訳ではない。

 もともとお笑いが好きで、東京03のライブには行ったことがないけど、ビューイングには行ったことがあったり、DVDをみたりと、ネタが好きなトリオの一組である。このコロナ禍の状況において、エンタメ界が様々な打撃を受けている中で、お笑いライブ、特に単独公演に力を入れている印象のある彼らも、それが今まで通りできない状況になった。やっと、単独公演で全国を回っていることが定着し、周知され、集客もできるという立ち位置を確立した彼らにとって、それができないというのは、大きな痛手だったように思う。収益、収入面での気苦労も勿論あるが、なんせ、東京03というお笑いトリオは、コントが、お笑いが、好きなのである。

 所謂自粛期間にもネタ作りをしてしまった彼らは、そのネタを単独公演という形に仕上げてしまった。それが、初のリモート単独公演である「隔たってるね。」だった。その単独公演は、タイトルの通り、それぞれが隔たった、つまり離れた状況で、リモートという形で行われていた。普段からサラリーマンという設定も多く、なんかありそうなラインを攻めるからこそ笑ってしまうのが彼らのコントの醍醐味でもあるが、それを、リモート会議や、リモート飲み会という形に落とし込んでいたのも面白かった。リモートならではの視点、ありそう、を活かして、構成されていたが、初の試みにしては完成度が高過ぎる、満足感のある単独公演になっていた。そのリモート単独公演は、無料公開で、しかも、アーカイブまで残してしまった。面白かったという感想はいうまでもなく、コメント等には、お金を払わせてくれという言葉が多く見られたし、実際にそのレベルのものだったと思う。また、芸人仲間には、あれを無料公開したらダメだよ、と危機感を持たれる程でもあったようだ。

 そして今日の単独公演を、生配信することを知った。チケットの価格を高いと思うのか安いと思うのかは、消費者である私の考え方次第である。4,500円の価値が、その時間にあるのか。そう考えたときに、きっとあると思えたのは、前回のあの、リモート単独公演があったからかもしれない。お笑いのライブ、東京03の単独公演を画面でみるということの価値を、あのリモート単独公演は示していたということになる。

 そして今夜のライブ、「ヤな塩梅」も間違いなく面白かった訳だ。ネタも幕間(途中の映像)もその繋がりも、隙なく面白かった訳だ、が。彼らの面白さというのは、私が彼らのコントを初めてテレビか何かでみたときよりも、確実に進化しているように思う。それは、世間的に認められる前から、コントを人前でやるということや、単独公演で全国を回るということにこだわってきたからなのかもしれない。あまり変なキャラが乗っかっていないということも、今や彼らのキャラクターになってしまった。そのうえ、いまだにコントを楽しんでやっている以上、もう彼らに怖いものなんてないように思う。面白いネタを書いて、それを面白いと思いながらやる、そしてそれをどこか(目の前や画面の前)でみている人がいる。この系図が崩れない限りは、彼らは最強なのかもしれない。なんせ今日も楽しそうだった。

 お笑いというのは厳しいもので、歌の世界などとも違い、最初からゴールが決まってしまっている。どういう相手も笑わせることしかできないし、笑わせることしかしてはいけない。面白いと思わせたらそれが正解で、つまらないと思わせた時点でそれは不正解になる。酷くシビアな世界である。そういうところが好きとか言いたいが、結局は面白ければなんだっていい。現金なものなのだ。

 笑いたいと思ったときに、真剣にふざけて、笑わせてくれる人がいるというのは何とも心強いものだ。いやはや、今夜も、面白かった。いや、今夜も凄く楽しい。

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