それでも私は強くありたい

 弱くなくっちゃ、あなたに守ってもらえない。強いままの私なんて、誰も構ってなんてくれない。ひとりでも大丈夫そうだし。皆そんなことを言う。は?大丈夫ってなんだよばか。放任主義のくそやろう。ああもう私、強いままではいられない。いつかはあなたに守られたいの。

 私は大して強くなんてない。ただちょっと我が強いだけ。皆それほど弱くなんてない。ただ頼るのが上手いだけ。放っておいて欲しかった。差し伸べられた手は掴まなかった。放っておいて欲しかったけど、生きてるだけじゃあつまらない。

 本当はいつか証明して欲しい。私が私の答えになったら、あなたに証明して欲しい。でもそれなら、あなたより先に死んじゃったら私は、あなたを解き明かせないままで暮れる。もし私、先に死んじゃったなら、こっそり答えを教えてあげる。だからあなた、先に死んだらば必ず、あなたの答えを教えてください。それがどんなに難解でも、じつは単純でもどっちだっていい。あなたという問いと答えを得た私を、私はずっと問い続けて、最期の瞬間にきっと解き明かすから。

 強がりでいつも誤魔化している。たまには守って欲しかったのに。強がりにはいつだって勝てない。それならいっそ、ちゃんともっと、今よりずっと。強く、強くならなくっちゃ。私を守ってくれる未来のあなたの、今を守ってあげなくっちゃ。強がりから始まった強さも、なかなか悪くはないものよ。あなたの弱音が積もった弱さも、弱みも今だけ抱いていてあげる。

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