分割払い

 呟いた言葉が現実になる世界で声にした「私を2分割できたらいいのに」。ここは私が2人いる世界。

 いざ分割されたはいいけど、どう棲み分けるべきかしら。どちらかだけに苦しさを押し付けるとどちらかが耐えきれなくなってしまうから、どちらにも平等に苦楽を与えた。そんな2人を観察していると、あんまり元と変わらない気がした。それどころか、2倍に希釈された味気ない私が2人いるだけ。何かの言い訳みたいにそこに存在しているだけだったから、とっても虚しい気持ちになった。

 だからもう元に戻したの。私が2人いたときとほとんど変わらない、私ぽっちのこの世界。1人で2人分の酸素を吸って、二酸化炭素を吐くこの世界。生きづらいとばかり思っていたけれど、案外性に合っていたみたい。悲しさが2倍なら、嬉しさも2倍であるといい。いつか自分に誇れるといい。

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