街路的思考

 触れたい絵なんて描けない、聴きたい音だって紡げない。だけど私にはここがある。だから、あなたの読みたい言葉を書き続けてあげる。とは言ってもいつも書くのは自分のための言葉ばかりだから、上手に書けるかわからない。でもあなたが少しでも私に似ているなら、ここはあなたの隠れ家にもなれると思う。

 ここにあってほしかった言葉、読みたかった物語。それを存在にするために、今日も筆を。なんてこの時代に筆を握るなんて、高尚な趣味でしか有り得ないよな。綴りたいのは自分に合った言葉、つまりきっと、それらはあなたの言葉にもなってくれる。疑わしいなら覗いてみてよ。ほら、意味不明。って思ったならそっと逃げて。

 これが若気の至りならよかったと、幼き頃から幾年思い続けているだろう。この癒えない藍がいつか至るなら、そんな日が来てくれるなら、今日の私はあなたに預けよう。大事に育てるときっと、いつか奇妙な花が咲く。

 綺麗事が嫌いなあなたは穢くたって華がある。いつも、貫いた信念は実は意地とかいう醜愛しいだけの生き物だったけど、お互いのそれを見せ合いっこして、笑って慰めあったよね。

覚えてなくていい。私のことを忘れる未来のあなたを、私は愛し続けている。いつか、あなたのことを忘れた私と、私のことを忘れたあなた。夢の中で、決して触れ合うことなく踊り続けよう。夜がいつまでも続くように。

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