不交過人

 他人に期待なんてしても仕方がない。もうずっと前からそんなこと知っているのに、それなのにたまに何かを求めてしまう。だがそれも咎められるようなことではない。別に見返りが欲しいとかそんな傲慢なことは言っていない。ただ求めるにも足らないようなペラペラの期待さえも裏切り続ける奴らは一体、私を何だと思っているのだろう。

 感情の動きなんて、時間を浪費するだけで価値のないクソゲーだ。同じ回路を山手線みたいに、ぐるぐるぐるぐるしているところも、すぐにバグってしまうところも。現代化が進んでも非合理的な日常から逃れられない所以もここにあるに限る。

 好きだったはずなのにめっきりそうじゃなくなってしまった人と、もう会うこともない、知りすぎなかったせいでいつまでも焦がれられるあの子とあの人。もう二度と会わないから、きっと会えないから、いつまでも失望せずに済む。多くを知らないから、死んだって知らせも受けないから、いつまでも失くすこともない。多分生涯で一番愛していた。今でもずっと愛してる。いつかLINEのアイコンと名前が変わったから、どうやら結婚したみたいだね。おめでとう。幸せになってくださいね。ずっとずっと好きなままのあの芸能人と、嫌いになれないあの子の存在はどこかよく似てる。私と、決して交わらないところとか。大好きだよ、もう二度と会いたくないあの子。序でに、バカなババアに嫌われていた、親と同世代のあの人も。どこかで生きているといいな。それでいてできるだけ苦しんでいないといい。今の私の苦しみがあなたたちのそれの代償なら、笑って許してあげようと思う。あなたたちに出会えてよかった。どうか私の存在は、頭の中から消し去って。これからも好きよ。さようなら。

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