ラブ・シンドローム

 泣いた。生理前で情緒が不安定だから。よりにもよって職場で泣いた。人前で泣くのなんて無様で迷惑な馬鹿だ。休憩前に上司に呼び止められて嫌味を言われた。だからって普段だったら受け流す。なんなら開き直って内心で逆ギレしてやるところだ。それなのに昨夜は泣きそうになった。休憩の場所には他の上司がいた。勤怠を打って、背を向けて弁当を食べた。なんとか、泣きかけで食べていたら、その上司に、体調悪いの?と話しかけられる。顔をみて、なんかあった?と言われた。こんなことならもう少しトイレで落ち着けるんだった。人前で泣くのなんて嫌いだ。それなのに声をかけられて、糸が切れてしまった。

 思えば、いつもどの職場でも、同じ注意を受ける。精神をやられたくないから気にしないようにしていた。別にいいと思いながらも、その場は謝っておく。一応なんとなくは気をつけてみても、変わらないから今更どうしようもない。だから、それを求められない仕事を選ぶつもりだったのにな。次こそ。私たちには仕事を選ぶ権利があると聞いたが、選ばれるクソばかりが目立つ。

 どうした?なんて聞かれても、体を酷使されて、寝不足で、気苦労が続いて、それでサイクル的にアレだなんて。特に最後のことなんて、言える訳がない。というか、言ってもおじさんには伝わらない。仕事に戻っても目には汗が滲んで情けなかった。仕事から帰るときも、帰ってからも。そして今夜もまた、働くらしい。今朝まで働いていたのに。そもそも、深夜のみの勤務だったはずなのに、話が違ぇんだよゴミクズ。

 やめたいと思ったときがやめどきだ。ドタキャンはしない。どうする?テレビを見る時間も、音楽を聴く喜びも気力も、奪われるなら働いたって意味がない。自分のためにならないなら仕事なんてしてやらない。どうしようもない自分が可愛いんだよ。好きだよ。お前のことは嫌いだ。

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