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次の楽しい夜のために

2021年2月13日(土)
夕方になって泣き続ける子の寝かしつけに手を焼いて、お互い冷静になろうと抱っこ紐を付けて外に出た。

昨年、臨月で引っ越した(強行突破でかなり緊張感があったのでお勧めしない)マンションの裏には遊歩道があって、車も通らないし人通りも少ないから、乳児の散歩にはとても助かっている。仮に泣いたとしても、子どもがいる世帯が大半なので大目に見てもらえるという安心感もある。 

だいぶ日が延びたとはいえ18時前、マジックアワーも過ぎて夜が始まろうとする時間帯だった。マンションの一階の部屋の窓を眺めながらゆっくりと歩く。カーテンから暖色の光が漏れている。

夜に見る他人の家の光は、なんでこんなに羨ましく映るんだろうなと思う。どれも暖かくて、幸福そうだ。自分を不幸だと思う訳では決してないのに。自分の家だって、外から見たら同じように映るはずなのに。

きっと、夜に外に出ていること自体が、今は少し寂しいのかもしれない。どこかに遊びに行くことがなくなり、1日がゆっくりと閉じていく寂しさや焦りを今まで以上に感じるのだろう。

歩き続けながらふと思い出す。キャンプの時は夜が楽しみで仕方なかった。陽射しの中で遊ぶのも良いけれど、醍醐味はやはり焚き火で、薄暗くなるといそいそと集まって火を囲み、簡単な料理をして、お酒を飲んだ。眠くて限界になるまでとりとめのない話をしていた。

キャンプが好きな理由のひとつは、「夜が楽しい」だったのだな、と思う。キャンプ仲間のLINEグループでは、今年こそ会いたい、燃やしたいと、時折やりとりが始まる。ここ一年で、新しく生まれた子どもたちも仲間に加わった。次の楽しい夜を待ちわびている。

いつのまにか子は胸元で寝ていて、ぽんぽんと体を軽く叩きながら、自分の家へと帰った。

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