あの子がうちにやって来た~くーちゃん編
わたしは黒猫のメスです。黒いからくろこっていいます。だけど、みゆさんと妹ちゃんは、わたしをくーちゃんって呼びます。その方がかわいいから、ですって。
最近11歳になったわたしは、みゆさんの家族ときーちゃんって猫と暮らしています。
今日は、きーちゃんがうちに入り込んできた時の話をします。良かったら聞いていって下さいね。
わたしは、五つ子の末っ子でこの家に産まれました。本当はわたしたち子猫はみんな里子に出されるはずだったんです。だから情が移らないようにって子猫には毛の色と性別で仮の名前を付けられました。
だけど、メス猫だったわたしとしろこちゃんが残ってしまって、お母さんと3匹でこの家で暮らす事になったんです。
少したつと、お母さんもしろこちゃんもいなくなりました。みゆさんは「虹の橋を渡ったんだよ。」って言いました。みゆさんは泣いていたけれど、わたしにはそれがどこにあるのか分かりません。どんな所なんだろう?
お母さんもしろこちゃんもいないから、一緒に遊べないし毛繕いもできないし、猫団子もできなくて寂しかったです。みゆさんたちがわたしをかわいがってくれたから少しずつ1匹でも平気になってきました。
それからしばらくした頃、きーちゃんが顔を出すようになりました。
あの子を初めて見たのは4年ほど前です。
わたしが家の中から外を見ているとやせっぽちのキジトラの子猫がてくてくやって来ました。子猫はわたしに気付くとこちらに寄ってこようとします。面倒くさいなと思っていたら、外にいたみゆさんが子猫に話しかけました。子猫はビックリしたのか逃げて行きました。
そんな事があってから子猫は頻繁にやって来るようになりました。わたしのところにも来るので、仕方が無いからお鼻の挨拶はしてあげるけど後は知りません。あまりしつこいとシャーって追っ払います。
子猫はみゆさんたち人間に愛想を振りまきだしました。ちょっと自分がかわいいと思って、本当にあざといんだから!
そんな子猫をかわいがるみゆさんたちも訳が分かりませんでした。だって、わたしがいるのに!
子猫なんてきらい。もうここには来ないで!ここはわたしのおうちなのに。
わたしはそんな気持ちで一杯でした。みゆさんたちは、わたしの気持ちも知りません。そして、わたしを撫でながら子猫の話を楽しそうにするのです。
もう、みんなきらい・・・。お母さんとしろこちゃんがいてくれたら。
子猫はお外の倉庫で寝ているようです。ごはんはお隣のおばさんが食べさせてあげているみたいです。
わたしのところにも相変わらずやってきます。
子猫はこんなに小さいのに独りぼっちなんだなぁと思いました。わたしにはお母さんとしろこちゃん、そしてみゆさんたちがいました。だから、ちっとも寂しくなかったし快適に暮らしていけます。
でも、あの子は・・・。
そう思うと、あの子がかわいそうになりました。わたしよりうんと小さい子猫だもん。少しは優しくしてあげないと大人気ないよね。そう思うようになりました。
そして、季節が変わっていってだんだん寒くなってきました。ヒーターの上に乗ったり、こたつやお布団に潜り込むのが気持ちいい季節です。わたしはそうやってくつろぎながら、あの子の事を考えていました。
こんなに寒いのにあの子大丈夫なのかな?寒くないのかな?かぜひいちゃわないかな?
その日はすごくすごく寒い日でした。
夜になると、みゆさんたちが話しています。
「きじこどうする?」
「こんなに寒いし、家の中に入れちゃう?」
「もう、うちの子にしようか。」
そして、妹ちゃんが外に出るとあの子を抱えて入ってきました。
どうやら、あの子はきじこという名前でここの家の子になるようです。わたしは少し安心しました。
あの子はお腹一杯ごはんを食べて、みんなにかまわれています。しばらくして、あの子がわたしに挨拶に来ました。
「くろこさん、これからよろしくお願いします。」
わたしは、なんだか恥ずかしくてあの子のにおいをかいで他の部屋に行きました。あの子は、いろいろ安心したのか眠ってしまったようです。
あれから4年。
あの子も大人になって立派な猫になりました。相変わらずあざといなぁと思いますが、それも含めたのがきーちゃんの魅力なのでしょう。
この前、ちょっときーちゃんとくっついてみました。みゆさんたちは珍しい!と写真を撮りまくっています。
別にわたしはきーちゃんの事はきらいじゃないですよ。別に好きでもないですけどね。ふんだ。
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