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ツイテルひと

母のことも書いてみようと思う。

母は2年くらい前から施設に入っている。
身の回りのことが自分でできる人が入る施設だ。

施設に入ったのは、自ら「ここに入りたい」と希望してのことだ。
施設という集団生活が母に合わないことは、私たち家族にはわかりきっていることで反対した。
施設が悪いわけではなく、そこでの生活で母の中で起きる感情のことが問題なのだ。
それに、経済的にもちょっと無理があるという問題もあった。


話を聞くために母が一人で住む家に行った。
実家がなくなってからは「帰省」という言葉はしっくり来ず、“母のところへ行く”という感覚になっている。


母は足腰は何度か手術もして、歩く時は高齢の人がよく持ってるバッグがついたようなカートを押している。
部屋の掃除は、ヘルパーさんが週に一度来てくれる。
それでも買い物が好きなので(スーパーで食料品を買う買い物ではない)一人で電車を乗り継いで出かけたり、何かを買う時には、付き添ってるこちらが耐えられないくらいの時間、立っていられる。
あちこち具合が悪くなって仕事のように病院ばかり行ってるが、たぶん実際にはどこも悪くなく元気だ。
でも、「調子はどう?」と聞いて、いい返事が返ってきたことはない。


一人暮らしが不安なのはわかるから、施設に入ればこちらも安心だけど、平穏な日は長くは続かないことはわかっている。


施設に入ることを私が強い言葉で反対すると、しょんぼりとうなだれて、「やっぱり無理やな。私が諦めるしかないんやな」と弱々しい声で言う。

かけひきが得意な母のことは、小さい頃から見てきた私が一番よく知ってるはずなのに、実際にその姿を見るとかわいそうになってしまう。

もう一度、入ったあとのことを色々想定して、母が不満に思いそうな山ほどあることを挙げてみる。
出たいと言っても行くところもないことも伝える。
それでも入りたいと言う。
「お母さんが今まで、自分が思うようにしたいと言って引っ越しても、すぐに不満が出て後悔してきたやん」
と言うと「わかってる。」としおらしく言う。
わかってるんや⁈
と内心驚いてると
「それでも入りたい!思ったようにしたい!」
と今度は強い口調で言う。

のちに、施設へ入る引越しの時に、箪笥はいくつもいらないし、入らないからひとつにしようと言っても、あれもこれも持って行くと聞かず
「私のやりたいようにさせて!」
と強く言って、
義姉が「そんな言葉、私、人生で言ったことないわ」とあとで言っていたのを思い出す。


私は、あるかも。
母のことを思って、色々我慢してきたこともあるけど、夫と結婚前に付き合っていた頃、一緒に旅行に行く時、母に正直に言ったらダメだと言われ、似たようなことを言ったような気がする。
その昔付き合っていた人のことは、付き合い自体を反対されて、かなり強く反発した。
あれは若気の至りだ。
母と私、似たようなところがあるのかも。


そりゃ、思ったようにしたいよね。誰でも。

良さそうな施設だし、快適そう。

ケアマネさんに聞いてもらうと施設は満室で順番待ち。
それを聞いてがっかりしていたけど、なぜかその順番はすぐに回ってきた。

母は運が強いのだ。  
本人は、運の強さや周りの人に恵まれていることを、本当にはわかっていないけど。

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