ダメでもスキ4

思えば私は昔からダメ男が好きだった。

まず一番最初の男の子と付き合ったのは高校1年生の時。相手は3年生の先輩だった。交際何ヶ月目か、放課後の放送室でお互い学生服のまま私たちは初体験をした。

今思うと、その時彼がどこに射精をしたのかとか、そのあとの処理をどうしたのかなどはまったく覚えていない。というか、彼がイッたのかどうかも分からなかった。それほど無知な状態でセックスできてしまうのだから、恐ろしいものだと思うが若さとは無謀である。

ところでこの初体験の彼からして、そもそも相当にダメだった。

まず物凄いオタクである。いや、私はオタクが好きだ。自分の知らないことを知っている男性は魅力的だと思う。

だからオタクであること自体は問題ないのだが、初めてのデートの日、恐らく一張羅のスーツである喪服を着て現れた彼は真っ黒なサングラスをしていた。そしてワイシャツの上にショルダーホルスターを巻き、そこにBB弾を入れたエアガンを挿していたのである。

ドヤ顔でチラリと上着をめくる彼に私は訊ねた。
「何でそんなの持ってるの?」
「ん?護身用(得意げ)」

若い男とはおおむね大体ダメなものではあるが、それにしてもなんといういとおしいバカっぷりであろうか。

続く

※こちらは毎週水曜日スポーツニッポンアダルト面にて連載中のコラム「ダメでもスキ♡」の再録です。

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