ダメでもスキ6

オタク男性が大好きでいろいろな分野のオタクと交際してきた私であるが、いささか問題もあった。

ひとつは、彼らのファッションセンスが少々独特過ぎること。

別に、私は彼氏の服装がダサいからと言って並んで歩くのが嫌だなどというつもりはない。自分もそうお洒落な方ではないし、人様の格好に文句を付けられるような立場ではない。
しかし、ある男性が外出のたびに軍服を着て来るのだけは少々参った。
彼は歴史や軍隊が好きなオタクでその知識量は相当なものだった。夜中に酔って電話を掛けて来て、ナントカ戦争について一時間以上語られたこともある。
そして毎週日曜日、彼はどこか外国の軍服を着込んで現れるのだった。きちんと専門店で買った中古の本物らしいのだが私には詳しくは分からない。

ある日ジャケットの裏地を指さし、「ここに穴が開いてるでしょ」と彼は言った。

「これは銃弾のあと」。

ちなみに別れたのは軍オタだったことが原因ではなく、彼が並外れた浮気者だったからである。とにかく非常に性欲の強い男性だった。

彼の家にはあらゆるジャンルのエロ漫画が山のように詰まれており、私は自分では買えないそれらを読みふけった。思えば、あれが官能作家になったきっかけのひとつだったかもしれない。

続く

※こちらは毎週水曜日スポーツニッポンアダルト面にて連載中のコラム「ダメでもスキ♡」の再録です。

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