ダメでもスキ24~お前のことだ
離婚した元夫は、ダメでこそあるが根は優しく善良な男だった。
例えばこんなことがあった。別居をし始めてしばらく経ったある日、以前から入り浸っていた愛人の部屋に住み着いていた彼が何やら憤って電話を掛けてきたのである。
「もうあの女とは別れる!」
「何で?一体どうしたの?」
聞けば、愛人は子持ちであった。娘は女子大生。夫はその娘と二人きりで話す機会を持ったらしいのである。
「母は昔から男をとっかえひっかえ家に連れ込み、かと思えば私を連れて突然知らない男の家に引っ越すこともしばしばだった」
涙ながらに訴える彼女の話に、彼は義憤を覚えたらしい。後日、愛人に対して怒った。
「お前は母親失格だ!お前が家に男を連れ込むたびに、娘がどんなに傷付いているか分かってるのか!?」
「お、お前が言うな!!」
私は思わず電話口で叫んでいた。
「あっ!そうか、俺が連れ込まれてる男か!?」
それまで怒りに満ちて愚痴っていた夫は、私にツッコまれて初めて矛盾に気付いたらしく絶句していた。
一銭も払わず毎晩タダ飯を食らう男に説教された愛人も災難である。
続く
※こちらはスポーツニッポンアダルト面にて水曜日に連載中の拙コラム「ダメでもスキ♡」の再録です。
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