ダメでもスキ8

夫（※注：連載当時。現在は離婚済み）の一番最初の浮気が発覚した時にはさすがに怒りいろいろと対抗策を講じた私だが、今では笑って見逃せるようになった。

証拠を突きつけ携帯電話を取り上げ、家出してみたり、夫の親に相談したり浮気相手に連絡したり、果ては裁判まで起こしたのだが、しかし最終的に解ったのは「ああ、この男は浮気をする人種なのだから、いくら怒っても無駄なのだ」ということだった。嫌なら私が別れればいいだけの話だ。理解してみると、それはそれで面白いこともある。

例えばある朝、夫が突然某テーマパークへ行こうと言い出したことがあった。
「急にどうしたの？」と訊ねると、しばらく言い淀んだ彼はやがて渋々口を開いた。

「会社にいる彼女二人が、某園に連れていけって煩いんだ。お互い存在を察して張り合ってるみたいで……でも俺としてはやっぱ、最初は妻と行きたいからさー！」

正直に言って、一瞬だけ「可愛いことを言うじゃないか」と思った自分を殴りたい。
「どうせ私と行ったそのあとに彼女と行くんだったら、最初からそっちと行きなよ。二人分家計から出すのは勿体無いから。お土産買ってきて」と私が言うと、彼は首を振る。
「そんな、土産までは買わせらんねーだろ！」
……なぜ最初から全部奢らせる前提なのか。

続く

※こちらは毎週水曜日スポーツニッポンアダルト面にて連載中の拙コラム「ダメでもスキ♡」の再録です。