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それでもやっぱり青が好き

私の趣味はハンドメイドだ。

ただただ自分が満足するために作品づくりに没頭する時間は、日常のあらゆる雑事から私を遠ざけてくれる。

資材は主にオンラインショップで買う。パソコンの画面のなかでさまざまなパーツを物色していると、まるで宝探しをしているような気分になる。

資材を購入するときに私がついついやってしまうのが、色違いのあるものは全色そろえて買ってしまうことだ。

販売するために量産するわけではないので、1つの作品を作るのに使う材料はほんの少し。

なのに1つのパーツを色違いでセット買いしてしまうものだから、材料棚は使い切れないほどの材料であふれている。


私の好きな色は青。

晴れ渡る空のブルー、深海のネイビー、澄んだ湖のブルーグリーン。

作品づくりでも、青系のものを作ることが多い。だから、青系の資材が材料棚に占める割合は圧倒的に大きい。

あるとき、姪のために姪の好きな緑色メインでキーホルダーを作ろうとして、はたと困った。

あふれるほどの材料の海に、緑色の素材がない。チャームも、ビーズも、手元には青系のものばかりで、姪の好きな緑に合わせられるパーツがない。

メインが緑色なら、黄色やオレンジもほしいが、そもそもビタミンカラーが苦手で購入した記憶がない。

私は青が好きだ。でも好きなものだけを集めていると、作りたいものが作れないことがあるんだなーと、作業机の前でしみじみとため息をついた。

このとき以来、私は意識してさまざまな色の資材を集めるようになった。

好みではない色のパーツをじっくりと眺めて、幾通りもの使い道を考えるようにもなった。

作業机に並べた色とりどりの材料を前に、あーでもないこーでもないとパーツを組み合わせながら、これって、人も同じかもとふと思う。

気の合う人とだけつながっていれば、そりゃ楽しい。だけど、世界が閉じているような気がするのもまた事実。

ちょっと苦手だなーと思う相手との会話から、思わぬ発想のヒントを得ることもある。

無理する必要はないし、好き嫌いはあれど、多彩なつながりはもっておきたいものだと思った。


結局、姪のキーホルダーは手持ちの着色料で作れるパープルカラーでまとめた。

めちゃくちゃ喜んでもらえたので、こちらとしても作った甲斐があったというものだ。

姪が通学中にキーホルダーをなくしたと連絡がきたのは、その数日後のことだった。

青以外の資材をそろえるようになって、たしかに作品の幅が広がった

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