緊急事態に思うこと。ちょっと真面目に。
2020.5.23. 三代 堅 / 青天の霹靂, u crack irigal, etc...
基本的に家で仕事をしているんで、緊急事態宣言が出ても、自分の生活パターンの中で変わったことはないですね。スタジオに行けないぐらい。やることは結構あるんですよ(笑)。いろんなお話もいただいて、新たなチャレンジみたいなこともやってます。ただ、ライヴはとんでますよね。青天の霹靂は、3月に吉祥寺のPlanet Kでやったライヴが最後ですね。そのときはお客さんもかなり少なくて。青天の霹靂史上、最低の動員を記録しました(苦笑)。かなり影響が出てましたね。
4月はもともとライヴの予定はなくて、5月にまたライヴをやるから新曲でも作ろうかって言ってたら、こういう状況になっちゃったんです。リハスタも閉まっちゃったんで、今はメンバーに、たまにLINEで、元気?、どうしてる?っていうぐらい(笑)。
自分がやっているアパレルブランドのSSS(SWEET STRNGE SPANGLE)で、ライブハウス救済支援コラボレーションをやろうと思ったのは、こういう状況になって、いつでもすぐにライヴなんてできると思ってたものが、単純にできなくなるということに対して危機感が生まれたからですよね。ライヴをする場所がなくなっちゃったらどうしようと。さらにそれよりも強く思ったのが、次の世代のこと。僕らより全然下、20コも30コも下の二十歳そこそこぐらいの人たちがライヴをやる場所がなくなってしまうのはどうなんだろうと思ったんです。
今はもう、東京でバンドをやるんだって上京してくる人は少ないのかもしれないけど、行ったことはなくても、誰誰がやったライヴハウスとか、そういう憧れを持ってる人はいると思うんですよ。僕だったら、THE ROOSTERSがやってたLOFT、BOOWYがやってたLOFTというイメージがあるから、どうしてもLOFTは憧れだったんですよね。武道館よりも、渋公よりも、田舎ものにとってはまずはLOFTだろうと。今は、当時のライヴハウスにあったいかがわしさや危なさとかはもう全くないけど、そういう特別な場所を存続していかなくちゃいけないんだなと強く思います。
渋谷VUENOSの閉店のニュースが大きく報道されたのを見たときに、ライヴができなくなってからまだ1ヶ月も経ってないのにあっという間だったから、焦りというか悲しみというか、それが強かったのかなと思います。僕、べつにこういうことをする柄じゃないですけどね。
お世話になってるライヴハウスと、相方のヒラカワ(レンタロウ)が懇意にしてるライヴハウスにまず声をかけて、そこのライヴハウスの象徴的な写真を加工してTシャツにしています。そこに、イメージした曲を僕が作ってつけました。SSSは、もともと音楽との親和性が高いブランドなんです。
ハコを象徴する写真のデザインなんで、そこには個人的な想いとかドラマがあるだろうし、日本全国、若い子から年配の方から、昔東京に住んでいた人とか、そういう人たちから申し込みがありますね。おかげさまで、かなりの方からご支援いただいて、よかったなと思ってます。
今はライヴができないから、配信ライヴも増えてますよね。これからオンラインが発達して、さらに5Gが標準になれば、おそらく世の中のシステムは相当変わるはずなんです。全部電子決済で、ボタンひとつで今日のLOFTのライヴが見られる、とかってなると思うんですね。だけど、それはライヴハウスのライヴを体験をしたことのある人にとっては、どうしても物足りないところがあると思う。音質の面でも、匂いというか取り巻く空気というか。あの熱や空気は伝わるものではないから。
時代の岐路と言ってもいいぐらい、いろいろなことが変わると思うんですけど、それでもまだ生のライヴを見た記憶を持ってる人たちがいるわけだから。その記憶とか体験を、今の20代の人たちが持てなかったら、本当に生のものがなくなっちゃうと思うんですよ。だから、一番大切なのはそこだし、ライヴハウスは残っていってほしいですよね。
僕自身は、何カ月もライヴができない状況になって、バンドって何なのかとか、自分にとって音楽をやれる空間って何なのかということを、改めてもう一回見直すことができたような気がしています。
インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。