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a moment a dimention

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夢にあらわれた世界をshort storyにしました。
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2022年12月の記事一覧

コムニ  6

日々はしごく単調なものとなっていた。 朝は完全シャットインの暗闇の小部屋に目覚める。ウィンドースクリーンのスイッチを押すと、いかなる季節であっても朝の太陽が地をわずかにのぞいた角度の光線にさらされた下層界の光景が見えた。そしてぼくは ‘ ああ、また生まれたんだ ’ と感じるのであった。 夜は深く、どこまでも深く、意識を持っていかれそうでこわい。とくにそこに漂うかつてHISTO-VISIONで見せられた深海魚のような姿の船を見るときは。もちろん宇宙線ブロックのためのスクリー

コムニ  7

薄暗く広大な講堂の壁は液状ガラスになっていて、目下には新都市の全貌が確認できる。光景だけではなく都市内のすべてのエリアにおいて、どの№のストリート、裏路地にいたるまでモニターできるスクリーンが備わっていた。男は冷たい暗がりからその空間とは比率的に不自然なほど狭いドアをくぐり、階段をぐるぐると産道を通るように風のあたる踊り場へと出た。 ひかりに細めた目の灰色の虹彩は崩れたように淡く大きく、遠くまで続く乾いたストリートを一望する。 男は名をテジロといった。 彼の目はその情景に、