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a moment a dimention

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夢にあらわれた世界をshort storyにしました。
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2022年9月の記事一覧

コムニ   2

沼がまた、地より浮かびあがり深さと広さを増し始めていた。ほとりに立ち、水の色とにおいからその‘様’をわたしはかぎとった。新しく生まれた沼がほかの生命のように判然たる意図をもってどうかたちづくり、どの方向性を持とうとしているのかを知ろうとしていた。 あらゆる生命はわたしに時系列を超えた真なる姿を赤裸々にさらしてくれ、素朴で純然たるその輝きに、わたしはいつも自らを照らし合わせた。 沼との‘語らい’より導き出すべき今回の課題はつまり、集落の移動先だ。湿原の拡大方角を避け、密林濃

コムニ  3

手と手を固く握った。 樹海とゴーストタウンの狭間に立つ高木から、極楽鳥たちがバサバサと飛びたつ。 これが、彼ら、両親と兄との最後だと、わたしには分かった。彼らは変わらない樹海のしげみを背負い、あたかもそれが不変であるように馴染んでいた。しかしそれはわたしにとっても不変であったはずだった。わたしのからだであり、わたしのすべてであった。けれどもそれが別れを告げている。この決別がわたしをどこへ、何へ、押しやろうとしているのか、このときのわたしにはさっぱり分からなかった。 この