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奈良に行くなら[4]〜東大寺法華堂編

手向山八幡宮の北側の鳥居を抜けると。

目の前に見えるのが東大寺法華堂です。「三月堂」と言った方が馴染みがあるでしょうか。

「東大寺、行ったことあるよ!」という方にも意外と見過ごされていることが多い法華堂ですが、個人的にはイチオシ!東大寺に行くなら、いや奈良に行くなら必ず立ち寄って欲しい!と思っているのが、このお堂です。

お堂の建物からご本尊、すべての安置仏が国宝という凄み。国宝だから...重文だから...といった指定には普段あまりこだわっていませんが、ここまで揃うと「全部国宝なんだよ!」と、つい言いたくなってしまいます。

特筆すべきはやはりご本尊、不空羂索(ふくうけんさく)観音菩薩立像の圧倒的な存在感!3m60cmという大きさもさることながら、衆生を見守るかのような表情と、その厳かな佇まいに圧倒されます。鹿皮を纏い(と表現されている)、輝かしい光背を背負い、頭上にはゴージャスな宝冠、合掌する左右の掌で水晶の如意宝珠を挟んでおられる。慈悲と威厳に満ちた仏さま。私にとって最高峰の仏さまです。

不空羂索観音とは、その手にした羂索ですべての者を救ってくださる、というありがたい観音さまです。

そしてそのご本尊を囲むのは、躍動感溢れる天部の方々。梵天・帝釈天、金剛力士に四天王。力強い!

一部の仏さまがミュージアムへ行ってしまわれ、一緒に見られなくなったのは残念ですが(ここに日光・月光がおられると静と動のバランスがそれはもう絶妙で本当に圧巻でした!)ミュージアムはミュージアムで多くの宝物とともに、お堂では見られない距離で間近に見られたり...といった良さもありますからね...。

またこのお堂は、もともと二棟だった建物をつないだ、ちょっと変わったつくりになっています。

二棟がドッキング

正堂と礼堂の二棟から成る建物の構造については、木岡敬雄氏が書かれたこちら↓が専門的かつ大変わかりやすかったです。

初めて入った際に衝撃を受けたこのお堂のつくり。靴を脱いで正堂に入ると、右手に須弥壇。圧巻の仏さまに目と心を奪われながらも、ふと見ると左手には小上がり席のようなスペース(あれは何と呼ぶのでしょう?)何?この小上がり席。ご対面席?なんて思いながら座り...。
いつもここで足をぶらぶらさせながらまったりしていると、平気で30分以上経ってしまったりしています。小上がり席を下りて、板敷に膝をついて見る下からのアングルもまた良し。心ゆくまで向き合うことができます。

余談ですが、興福寺南円堂におられるのも不空羂索観音さま。運慶の父でもある仏師、康慶(こうけい)の作による坐像ですが、こちらは年に1度だけの公開です。

年に1度といえば、法華堂の執金剛神さま。こちらも公開されるのは毎年12月16日の1日のみ。まだ一度もお目にかかったことがありません。見に行きたーーーい!

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