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J.S.バッハの音楽はいつも僕に力をくれる【中編】

同タイトル【前編】のつづきです

バッハの魅力に目覚めるきっかけとなった大事件

13歳の時、リスト音楽院と並行して通っていた一般高校との両立で心も体も潰れそうになっていた。いや、実際に潰れてしまったのかもしれない…

ある時、いつものようにピアノの練習をはじめると突然両手両腕に激痛が走った。それまでにない感覚で自分の体の不調に不安と恐怖を感じた。実際、その日から約10ヶ月間痛みが続き一音もピアノを弾く事が出来なかった。あらゆる病院へ行き、様々な検査をしたが原因は不明との事。今振り返れば単なるストレス+過労によるものだったのかもしれない。
しかしこの大事件のおかげで僕の音楽と向き合う姿勢、そして音楽家人生そのものが大きく変わった。

ここで意識した事。それは
もし自分が今後一切ピアノが弾けなくなったら。もし自分の人生から音楽が消えたら。はたして自分は生きていけるのだろうか。
10ヶ月間苦しみ、悩み、考えた結果は「NO」だった。僕はもう、音楽なしでは生きていけない!と決めた。そしてその正直な気持ちを恩師エックハルト氏に伝えると「そうか!それはよかった!」と微笑んでくれた。

翌日、なぜか僕はピアノの前に座っていた。鍵盤の蓋を開け、右手だけで恐る恐る音を出してみる…

あれ?…痛みがない…!

左手も加えて少し弾いてみるが、やはり痛みはなかった。あまりの嬉しさに、号泣…

少し落ち着いた頃に気を取り直し、一曲真剣に弾いてみる事にした。今一番演奏したい曲を。そう心に決めて両手を鍵盤の上に置いた。その瞬間、自然に「出てきた」のは…

バッハの作品だった。

曲はフランス組曲第5番からサラバンド。

On Spotify

美しい旋律とハーモニーに浸りながら、味わった事のない幸せな気持ちで一音一音弾いていた…

つづく

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