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J.S.バッハの音楽はいつも僕に力をくれる【後編】

同じタイトルの【前編】【中編】のつづきです。

今だから弾きたいバッハ…

13歳の時に迎えた音楽家人生のターニングポイント。手の不調から回復して弾くバッハは格別だった。以降、バッハの作品は僕の「充電ステーション」のように、どんな時もエネルギーをくれるオアシスとなった。実際、今でもピアノの前に座り、練習を始める時は必ずバッハを一曲弾くようにしている。心が落ち着き、集中力が高まり、幸せな気持ちになれるのです。

Covid-19が世界中に広まり、自宅待機で不安な日々を過ごしていた時、はじめに取り出した楽譜はバッハだった。昨年秋に自宅療養をやむなくされた際も、最初に聴きたくなった音楽はバッハだった。そして今、コロナの収束を願う気持ちで弾きたいのもやはりバッハだ。

この先、ポストコロナの新時代に突入できた時、世の中は一度「原点回帰」というキーワードを意識する事になるでしょう。地球の歴史、人類の歴史は繰り返され、これまでも国や世界が麻痺するような出来事の後はいつもそうだった。

そんな中、僕は一人の音楽家として、ピアニストとして、今だから届けたいバッハがある。原点中の原点ともいえる曲集、インヴェンションだ。

右手と左手、二声だけで書かれているシンプルな音楽。だがそのシンプルさが奏者にとっての難しさでもある。一音一音の「色」にこだわり、解釈を作っていく地道な作業が要求される。しかしその作業の先には夢と希望に満ちた、バッハにしか描けない美しい音の次元があるはず。その次元こそが、今の社会が求める美の瞬間芸術だと信じたい…

(©︎Miyujik Official, 2022)

バッハ:インヴェンション(全15曲)演奏予定!

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