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商工会議所のお姉さんに相談したら、いつの間にか素の自分で話していた

結婚に伴う転居で、9月末に前職を辞めてから4ヶ月経った。

日差しは温かくも、風が冷たい1月下旬。
私は寒さに身を震わせながら、転居先の商工会議所に出向いていた。


そもそも退職したときは「商工会議所」という名前すら知らなくて、
転職活動をしつつ、フリーランスも視野に入れていたときに知った。

そんな私が商工会議所で相談をしたのは以下の理由から。

①昨年の秋に退職したので年末調整をしていない+昨年から業務委託をしていたので確定申告の仕方を知りたい
②開業届と青色申告について教えて欲しい

上記については、なんとなく答えは知っていた。
だけどネットで検索すると、正しいのか間違っているのか、分からない情報ばかり。

そんな状況でも、刻々と近づく確定申告の時期。

正直なことを言うと12月には商工会議所という存在を知っていた。
そのときから確定申告の不安があったから、1月の早い時期に相談に行こうと思っていた。

でもなぜか、こういう場所に出向くのはなんとなく腰が重かった。

1本電話をかけてしまえば簡単に予約なんてとれるのに、なにかと理由をつけて後回しにしてしまう悪い癖が出た。


やっと商工会議所に相談に向かったのは、フリーランスでやっていこうと意志が固まったから。そして確定申告以外に、開業届とか青色申告とか不明瞭なことが積もってきて「いよいよ確認しないと大変になりそう」と危機感を覚えたからである。

そんなわけで商工会議所に伺うと、自分と同じくらいの年代の女性が担当してくれた。丁寧に名刺を渡してくれて、正直驚いた。

そこからは疑問をぶつけてみた。
・確定申告は、給与所得と業務委託の収入を書けば良いこと
・開業届はいつでもOK。青色申告の諸々を教えてもらった(雑なまとめ)

ここまでで時計を見ると45分ほど経っていた。
疑問点は解消できたし、そろそろ終わりかななんて思っていたら、

「今までのお仕事を辞めて、個人事業主になるのって勇気がいると思うんですが、なにかきっかけがあったんですか?」

え、こんな個人的なことまで話を聞いてくれるんだ。

それまでなんだか仕事モードで話を聞いていたけど、一気に自分のスイッチが入れ替わって、素の自分で話をしていた。

夫と付き合ってたときからフリーランスも視野に入れていて、ゆくゆくはフリーランスになることを想定して少しずつ準備をしていたこと。

転居後、前職を続けようかなと思い転職活動もしたけど、やはり転居を機にフリーランスとしてやってみようと思い始めたこと。

これまで看護師やIT企業で経験して珍しいキャリアであること。

これからどんな仕事をしていくのかなど。

私の個人的な話を、うんうんと穏やかに傾聴してくれたお姉さん。

気づいたらおすすめの観光地やお互い車の運転が苦手なことまで、まるで学生時代の友達のように他愛ない話をしていた。

転居して、東京に住んでいたときより関わる人数は減った。
転居先に友達は何人か住んでいるけど、数えるほど。

前より直接話す人が減ってしまったなかで、友達のような感覚で話せる人がいると感じて嬉しかったのかもしれない。

気づいたらチャイムが鳴った。

なんと私たちは2時間も話をしていたようだった。

たしかに、隣のブースでは商工会議所の別の方が「よろしくお願いします」「お気をつけてお帰りください」という挨拶を何度かしていた。

きっと2〜3人の相談を担当していたのだろう。

「あー、1人で2時間も話して、お姉さんの業務の時間を奪ってしまって申し訳ないな」と感じたけど、友達も知り合いも少ない転居先で素の自分で話せるのが嬉しかった。

もちろん自分の知りたかった確定申告やら開業届・青色申告など税金関係の正しい知識を教えてもらっただけで、行ってよかったと感じた。

ただそれ以上に、新しい地に素の自分を受け止めてくれる人がいると感じられたのが嬉しかったのかもしれない。

もっと気軽に相談に行ってもいいんだな、また何かあったら相談しに行きたい。そう感じる2時間だった。

「あのとき商工会議所のお姉さんから聞いておいてよかった」と思えるように。

これから良い意味でも悪い意味でもどうなるか分からないけど、今まで以上に仕事を頑張っていこうと思った27歳の冬。

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