7月1日
梅雨が微妙に残って蒸し暑く、夏になるなあと毎年感じる7月の初め
私は毎年この日になると思うことがある
そう、この日7月1日は父親の誕生日
離れてからも一度も忘れたことのない父親の誕生日
両親が離婚してから会う機会はないが、毎年お互いの誕生日には必ずメッセージを送り合う
ただ一回だけメッセージを送れなかった年があった
それは父親が再婚した、そう聞いた年だ
風の噂というものは怖いもので、どこからか流れてきて小耳に挟んだ父親の再婚の話
まだ若いから再婚してもおかしくはないし、反対する気持ちはなかった
だけど、複雑な気持ちなのは確かだった
私の父親から違う子の父親になったんだと思うと寂しい気持ちとショックが入り混じると同時にどう接していいのかわからなくなった
父親がいなくなったあの日以来、初めて私は泣いた
その年だけ私は父親に「誕生日おめでとう」がどうしても言えなかった
それでも父親は私の誕生日には変わらずメッセージをくれた
「誕生日おめでとう、元気に過ごしていますか」
「あなたは私の誇りです、あなたの父親で幸せです」
毎年言ってくれるこのメッセージがより一層重く、より一層嬉しく感じた
きっと今よりもっと父親が遠く離れてしまうことが寂しくて怖かったんだ
でもそんなことはないんだ、と私は気付いた
当たり前なんてなくて、失う前に大切なものに気付くことがどれだけ大事なことかを、父親が教えてくれたように思えるようになった
そして今年も7月1日がやってきた
パパ誕生日おめでとう
私もあなたの娘でとても幸せです
ずっとあなたの娘です
きっとまた来年も再来年もその先も7月1日は、私にとって特別な日で在り続けるだろう
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