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【おでかけ日記】恩師の個展に行ってきました。

6/29、恩師である松尾多英先生の個展に行ってきました。

旧ブログでは何度か紹介したことのある先生ですが、改めて。
私が通っていた東京造形大学で、いくつかの専攻外の授業とゼミを履修した先生です。
先生のゼミの課題は至ってシンプルで、『ゼミの期間中にゼミ生全員で、学校外の場所でグループ展を行うこと。そしてその場所で展示するための作品を完成させること』。
デザイン科にいながらデザインではなく『絵を描く』ことがやりたかった自分にとって、松尾先生のゼミの空間は一番息のしやすい場所で、一番自分の作品に向き合えていた時間であったことを今でも強く覚えています。
そんな先生と授業やゼミでお話していくうちに先生の作品や制作活動にも興味を持ち、はじめて先生の個展にお邪魔したのはまだ学生だった頃かな…とんでもない作品を描く方だったことに気付かされました。

岩絵具で、砂を描かれる日本画家です。
100号のキャンバスを、何枚も連ねてそれを描き出します。

それから、個展のお知らせをいただくたびに可能な限り足を運びました。
個展にお邪魔すると必ずとても丁寧に話してくださる先生がいつもありがたくて、反面、絵でなにも成功できていない自分をいつも責めがちになっていました。それでも、とにかく描き続けてほしい、またお話を聞かせてほしいという先生の言葉でこれまで創作活動を続けている部分も大きくあります。

1〜2年に一度ほど届いていた個展のお知らせが、ここしばらく届きませんでした。
こちらからお手紙を送ろうかだいぶ悩んでいたのですが、先日、『最後の個展』と称した個展のお知らせが届きました。
少し前から体調を崩されていたのは知っていました。手紙が届いた時に本当に泣きそうになってしまったのですが、同時に同封されていた『100号20枚連作』の言葉に文字通りひっくり返りそうになりました。

東京芸術劇場でお会いした先生は、学生時代授業でお会いした頃と変わらないくらい、お元気そうでした。もう、ほんとうにパワフルな先生なんですよ。
自分が、絵についてぐちゃぐちゃ悩んでるのがバカみたいに思えてくる。でもそのバカみたいに思えている部分を話しても、全然バカにしてこない、そういう先生です。
私がコミック系のイラストだけでなく漫画を描いていることも全部覚えてくれていて、「最近漫画描いてないの?」という言葉で目が覚めるようでした。先生、漫画はぜんぜん専門外なのに。
最近学生時代の友人が絵やデザインや漫画で食っていけてたり、漫画関連で賞取ってたりを見てたので、たぶんこれはほんとうに、タイミングだと思います。

そして先生の作品がやっぱり圧巻…webサイトのギャラリーからも見られるのでぜひ見てほしいのですが、本物の『飲まれる』感覚はデジタルの画像じゃ伝わらないんですよねこればっかりは…

会場にいらしていた方も造形大の卒業生が多く、聞こえてくる会話も興味深く耳をそば立ててしまいました。
みんなやっぱり先生に“会いに”来ている。最近こんなことやってますよ、こんなもの作りましたよ、こんなの作ろうとしてますよ。全員、代も科も違う卒業生だけど、同窓会みたいですごく居心地が良かったです。

実はこの日、コピックアワードの締切前日でした。たぶんまだ全然出来上がってなくて、完成しなかったら別に回そうと思ってたくらいでした。
先生の絵を見て、お話しして、絶対に応募してやるに切り替わったのを覚えています。
他の滞っている制作も、少しずつ。6月は良いインプットが出来ました。
制作活動、頑張っていきたいです。そうして出来上がった自分の作品を、『描きました』って笑って先生に報告できるようになりたいな。