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ふるさと納税によるトンガ支援について

 日付が1月16日に替わり、しばらく経って、居間のテレビが津波警報・注意報を知らせる画面に切り替わりました。どうやら、前日午後、トンガの海底火山が噴火したものの津波の心配はありません、と報じられていたのとは一転、やはり津波が襲ってきている、というものでした。

 ニュースを見ながらふと考えたこと。トンガも大変だけれど、日本の沿岸部の自治体も大変だ。今回は、いわゆる海なし県に位置する「山チーム」の我々こそが、支援に100%集中できるのではないか。しかも、御代田町は活火山浅間山を抱えている。他人事ではない。お互い様の精神を発揮する場面だと感じました。

 そう思って過去のことを調べていると、東日本大震災の時、トンガでは子どもたちを中心に義援金を集めてくれて、日本円にして900万円ほどを日本に送ってくれたこと。輸出用のサトイモも送ってくれたことなどが分かりました。

 御代田町ではふるさと納税に力を入れています。私が年度最終の1カ月だけ町長だった平成30年度、4300万円台だったふるさと納税は、令和3年度、その10倍である4億4000万円を突破しています。たしかに、魅力的な返礼品の開発にも力を注いできましたが、「みよたんクエスト」を通し、使い道の完全事前開示を図るなど、使い道の見える化と正常化を目指してきました。ただ、お金を集めて満足、という自治体がまだまだ多いように見える中で、私たち御代田町は、他の自治体(主に大都市圏)の税収を減らしてしまう現実を受け止め、変な使い方をしては申し訳ない、寄付者が「そのように使ってくれてよかった」と思ってもらえるように心がけてきています。

 そのような流れを踏まえると、御代田町としての貢献は、ふるさと納税を通して行うのが妥当だと考えました。先ほど申したように、御代田町としてのふるさと納税の集まり具合は、町民に十分満足してもらえるものと確信しており、トンガの危急を思うとき、今後しばらく、使い道をこちらに向けていくことは十分理解していただける。移住してたった5カ月の私を選んでくれた町民の皆さんなら、文句を言うどころか、そう行動することをむしろ喜んでいただけるのではないか、と感じました。

 16日のうちから検討を開始。ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」さんや、日ごろから私にアドバイスを与えてくれているチームに、問題点の整理を含めて相談しました。明けて17日月曜日には企画係に概要を説明すると、ほかの仕事もたくさんある中でトンガプロジェクトを優先して取り組んでくれました。当初、返礼品を差し上げない前提でふるさと納税を利用した「クラウドファンディング」を立ち上げていただく予定でしたが、CAMP FIRE側の審査、ページ作り等に時間がかかることが分かり、まずは、現状「町長におまかせ(みよたんクエスト)」だけとなっているふるさと納税の使い道希望欄に「トンガ王国の復興に向け寄付」を追加する、できるだけ既存の枠組みを利用するスピード優先策を取り、20日木曜日には「さとふる」サイトを切り替えてもらう作戦としました。

 20日朝には、信濃毎日新聞、日本経済新聞、共同通信配信をもとにした全国各地の地方紙に掲載。同日夕方にはテレビ各社向けを前提に記者会見を開いたところ、NHKでは翌日朝、全国放送していただいたようです。TBSにもリモートで取材していただき、翌日朝「THE TIME,」の「きのうバズった!SNSトレンドワード」のコーナーでご紹介いただきました。日本経済新聞では22日朝刊でも私のインタビュー記事を掲載していただき、より具体的な狙いについて説明する機会もいただきました。

 町内で接する皆さんにはおおむね良い取り組みだとご評価いただいているのですが、世間全体を見渡すとふるさと納税制度そのものに対する懐疑的な立場のかたも少なくないことから、ネット上では当町へのご批判も頂戴しています。

 たしかに、「どちらも活火山を抱えている」という以上の縁が感じられない御代田町でなぜやるの、と感じることは当然だと思います。ふるさと納税に関して、自治体によっては収賄事件に発展したり、予定されていた返礼品が届かない、量がかなり減った、というような、制度の信頼性を揺るがすような事態を起こしている残念な自治体があることも事実です。

 しかしながら、今回のことを通して、御代田町が何か得をしようとか、中抜きを企てているとかそういったことは一切ありません。スピード感を優先し既存のポータルサイトの枠組みをできるだけ残した形でスタートさせたために、今のところ返礼品はあり、なし両方選べる状態です。よって、トンガ情勢に便乗して町の物産を売り込もうとしていないか、という感じ方もあるかもしれません。もちろんそういう意図はありませんが、今後できるだけ早く、返礼品を選べない仕様としたクラウドファンディング(ただしふるさと納税ではある仕組み)をご用意し、そういった疑念も払拭するようにいたします。

 また、ポータルサイトもボランティアではありませんので、こういった前例に乏しい寄付先の場合にサイト手数料を免除する仕組みが今のところありません。これは、国内の大きな災害の時にサイト側が手数料を免除する仕組みがあるのとは対照的です。今後、トンガに対する各自治体の支援が広がってくると手数料免除の動きが出てくる可能性はありますが、今のところ私どもだけでどうにかできることではないこともご理解いただけたら幸いです。どうしても納得いかない、というかたには、町への直接振込の形でふるさと納税していただくことでポータルサイト手数料なしに送金いただける仕組みも整えております(振込手数料はご負担ください)。

 26日朝の段階で、トンガ関連のご寄付は163件286万3000円いただいております。小さな町が細々とやっていることではありますが、各メディアのご協力もあってかなりの金額が集まってきています。東日本大震災の時にトンガ王国が送っていただいた900万円あたりがひとつの目安なのかなと思うところもありますが、まずは、こういったふるさと納税制度を活用したトンガ支援にご関心をお持ちの方は、私どもの特設サイトをご覧ください。

どうかよろしくお願いいたします。

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