マサオプション『リビング・こぽこぽ・aquarium・母』を見ました。
1月17日に、配信公演『リビング・こぽこぽ・aquarium・母』という作品を見ました。
この配信公演は、6つのカメラがあって同時にいろいろな方向から見ることができるという作品です。複数のカメラを一度に眺められるというのは、分身の術をつかったように色々な方向から見られるんだなと実感しました。
一度にたくさんのことを見るのに慣れず、最初は頭が混乱してしまったので、何度か見直してゆっくり楽しんでいます。
アーカイブの視聴期間が1年間の設定なので、ありがたいばかりです。
お話は、4兄弟の 上から、
宇宙
思想
ひと
メダカ
という、そういう名前であったり、宇宙や思想が擬人化されているともとれる、のひとたちの日常の風景であり、生涯のお話でもあって、いろいろに受け取れます。
宇宙の、宇宙規模の大きな話や
思想の、脈々と続いてきたいろんな思想論ばなし
ひとの、ひとだけになんとも親近感のわく、些細な日常と
メダカの、メダカといったら学校よね?という
童謡からはじまるけど、野生の世界は厳しいという話
(群れが生き残るために、多少の犠牲は仕方ないという)
どれも、自分の周りにある、身に覚えのあるいろいろなことが連想されて、
謎かけをしかけられているようでした。
大きく丸くうごくダンスと、語られる言葉とが
それぞれ似ているけど違う意味があるように思えるのも
謎かけ感が増すのですが
声が、やわらかく響くので、悩みながら聞くのではなくて
言葉の端々をとらえては、笑ったり、切なくなったりします。
タイトルにも母とあるし、会話にもたくさん出てくる「母」という存在が登場しないのですが、
子どもに手作りの、オリジナリティに溢れた、いいかえるとびみょーにこれちがうよね?という食事を出す母(ハンバーグという名の、焼き肉だんご、とか)
4兄弟が食事を始めるときに、どこか離れた場所にいう「いただきます」
そんなシーンに「昭和世代の母」を感じて、懐かしくも切なくなりました。
舞台はステージとそれ以外をビニールのカーテンで区切ってあるのですが、
カーテンがあることで「画面越し」という違和感を感じずに楽しめました。
肉眼でみるより、色の階調がすくなくなって
白い部屋のなかの白い衣装と青の照明で、水槽の中や宇宙と自在にかわるし、
配信である面白みが際立っていたように思います。
見るたびに、心臓をつかまれるように胸がつまってしまうシーンがあって、
番組制作のADをしているらしい「ひと」が
企画で書く、母への手紙がところどころにでてきて、
そして最後には兄弟がそれぞれ、自分にとっての母を語るのですが
それぞれの来し方、これからの行く末を語られてるようでもあり、
聞いているとわたし自身が守られていた記憶を思い出して
なんとも切なくも嬉しい感情が込み上げてきます。
『5年後の我々へ』のときもおもったのですが、音楽が!
メロディを聴いていると、なぜとはわからないけど気持ちが軽くなります。
未来って明るいものなんだという心持ちがしてきます。
見終わったときには、
子どもの頃に感じていたような、
遊びきった楽しさと、遊びが終わってしまった寂しさを感じます。
劇場へ出かけ、客席へついて集中する瞬間が好きです。
そして、配信を見終わったとき、ぽっと戻った日常と作品とがすこし混ざり合ったような時間も好きだなと『リビング・こぽこぽ・aquarium・母』を見ていて思いました。
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