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成果報酬型の求人広告のトラブルから考える社会福祉法人の採用について

こんにちは。社会福祉法人美芳会の人事のひとです。
社会福祉法人の周りの話をNoteに書いています。
ICTの取組や労務環境の取組を中心に不定期に思いついたときに書いています。興味がある方は過去の記事やフォローいただけると励みになります。
今回の人材難とずっと言われ10年の平均有効求人倍率が4倍(うろ覚えですが)の福祉の採用に関する出来事から考える運営注意点をまとめました。


人材紹介と求人広告について

福祉施設の研修や意見交換会にいくと、「人材紹介=悪いところ」といったような風潮(ステレオ的ですが)があるように思えます。採用が困難で、人材紹介会社が広告料を使用し母集団形成しているため、そちらに流れていってしまって被害的な感情になるのもわからなくはないですが、制度的には同じ厚生省にて認可されている事業として(元の管轄は違いますが)商売されています。
私たち自身が人材関連のビジネスモデルの理解に乏しいというのはあるのかもしれません。一般的に人材紹介業と募集情報等掲載事業については以下のように整理され区分と認可がなされています。

相談もらったケースの内容

執筆者の人事担当の人は元人材会社の業界のものなので、よくよく、人材紹介の利用相談や求人広告の利用相談など受けることがあります。
その中での話です。

ケース①)人材紹介会社から紹介してもらった候補者を自社HPからの応募しなおさせていいか

これは、人材紹介会社からプロフィールシートをもらって面接対応したけど、紹介料が高いからちょっと腰が引けたようで相談をもらったケースです。結論としては、ダメですとお答えしました。
人材紹介会社から採用すると想定年収の30%前後の紹介Feeを支払うことが多く、1人あたり6~80万を超える支払いになる場合もあり高額に感じます。そのため、このようにお支払いを避けるような思考になるのかもしれませんが、民事契約において違約事項に抵触し違約金等請求される場合があるのと、信用を損なうケースになるので避けるべきと考えています。
しかしながら、年間の人材紹介会社へ払う事業費が高くなっている法人・施設もあるのも事実で業界としては課題感をもっている話題であります。

ケース②)求人広告経由からエントリー候補者が後々、自社HPから応募した場合

これは、求人サイトに求人広告をだして、そのサイトからエントリーまたは、スカウト機能を利用して面接対応したケースです。
ケース①とは違い複数拠点を持っている会社さんで、事業所Aに求人サイト経由から応募し、面接したが本人辞退となり採用に至らなかったが半年後、隣のエリアの事業所Bに自社HP経由から応募し採用に至ったケースです。
後日(2年後くらいの時間があります)その求人サイト運営会社より違約対象の調査として問い合わせがあったようです。
この会社は事業所ごと採用管理しており、相互で応募者情報を共有しておらず、また当時人事担当していた方も退職していたため、事実確認に時間がとてもかかったようです。
このケースは違約判断が難しく、契約時の約款の内容にもよりますが、求人募集の案内をどの時期に出してどの事業所で募集を行っていたかにもよると思います。また候補者の方からすると、事業所名が異なっている会社だと同じ会社と認識してないままエントリーするケースもありトラブル事象としては複雑なケースだなと感じました。

福祉施設の採用運営の課題

相談もらったケースから考える福祉施設の運営上の問題点としては大きく3点あると思います。

①部署採用や施設採用など採用権限や管理体制の見直しが必要である

福祉施設での採用管理体制として、規模の大きさに関係なく採用管理を集約されておらず、部署または施設単位での採用管理を行っており、施設長が採用権限を有しているなど現場権限型の傾向があります。これは、施設数の多さや情報連絡が脆弱な傾向にあるためだと感じます。まだまだ、人事・採用担当が専門的に設置している法人も少なく、施設長が兼務しているケースが多いのが現状です。
現場採用と法人一括採用とどちらが優れているという論点ではないのですが、どちらの採用方針でも採用における情報管理や体系化がされていない点が課題といえます。情報管理の内容は②のほうへ移っていきます。

②応募者の問い合わせ履歴管理の仕組みが必要

①でも述べた採用管理が現場寄りの状態もあり、またICT導入・情報管理ツールの体制整備が追い付いてないことなどが起因して、応募者の問い合わせを一覧化していな法人や事業所が多い印象です。
ここは全数調査したわけではないのですが、自社でも私が来る前は一覧化されてなかったのと、現在県下で情報交換する間柄の方々へヒヤリングしたところ、多くは一覧化されてない回答でした。原因・背景は様々あるかと思いますが、求人サイトのトラブルから考えると応募者の問い合わせ履歴の管理が必要だと思います。
「誰」・「いつ」・「どこから(どのサイト・求人)」・「採用決定のステータス(採用したのか、不採用なのか、辞退なのか)」を必要最低限の情報としてExcelなどツールはなんでもいいので、履歴を残していくことが重要です。

③違約金などの契約約款の注意が必要である

これは当たり前ではあるのですが、なかなか見落としがちな観点です。求人サイトやITツールや会員向けブログやゲームなど、今の日常のほとんどのサービスは無料で登録し利用開始することができます。その後必要に応じて、課金したり、利用料が発生する有料プランに切り替えたりすることで利用料の支払いにつながります。
その利用を始める前に必ず、各サービスには利用規約が存在し、その中に利用範囲や違反行為などの注意事項や重要な内容が記載されています。
では、その利用規約をきちんと読んでいるかといえば、ついつい長くて飛ばしてしまう・・・というようなケースも少なくないと思います。私も全部読んでいるかというと読み飛ばしてしまっているなと、今回の事例やこのNoteを書いている最中でも苦々しい気持ちになるくらいです。
無料サービスを開始する際の約款を施設長や理事長に稟議を回すといったケースは多くないと思います。そのため、問題が発覚してから利用規約を確認するといったことになりかねません。
改めて、現在利用しているサービスの利用規約・契約内容については定期的に確認することが組織運営上のガバナンス強化に必要な観点といえます。

まとめと感想

今回は、周りの方から相談もらった採用に関するトラブルから考える福祉施設の運営上の問題点・課題点について書いてみました。
採用のツールが多様化していたり、採用費が高騰して苦慮していたり、労働生産人口が低下して、採用が大変になっていると思います。
少しでも、福祉・医療の現場での採用体制が円滑にいくといいなと思います。そのためには、法人や業界自体が運営体制が「働きやすい」職場・業界であることも大事なのかなと思います。



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