餞
──ああ、こんなところにも生きる意味は芽生えるのか。
こんな痛みは、知らなかった。
私は今まで宙に浮いたように生きてきたが、これから先は一層そのように生きていくのだろう。
雲の上を歩くようにして。
ただ、心に炎を点しながら。
私にあるのは、おまけであり、残されただけの道。
それを消費するためだけに、足を動かし、歩を進める。
何かを目指す訳でもなく──。
「また来ん春」
そんな言葉を鼻で笑いながら、騙された気になって、どこかで信じながら。
風を追う、風を追う。
他には何も無い。
読んでいただき、ありがとうございます。 良ければまたいらしてください。