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内田樹を読む理由

少し出遅れつつも、内田樹の生存戦略読了。
彼の本はほぼ全てに目を通しているので、(読者ならわかると思うけれど)新刊だからといって新しいオピニオンが散見できるというわけではなく、(もちろん新しいトピックもあるけど、だから買ってるけど)長きにわたって首尾一貫した主張をし続けているので、そのオピニオンに賛同できるか否かは別として信頼できる。

これだけブレずにコンスタントに考えを発信し続ける人って、案外貴重な存在なのではないだろうか?TVで見るようなコメンテーターやら有識者と言われる方々は、その時々の状況に"応じた"たいどで毎度主張なさっているから、少なくともその意見に"安定性"はない。
だけど内田樹に関していえば、考え方の"軸"がはっきりしていて、それを手を替え品を替えというか、その時々の状況に"応じた"表現をする人だと思う。
だから、結局のところたいして(出版される書籍の数に比べたら)多くを語っているわけでもないし、悪く言えばいつも同じようなことを言っている。でも、そういう人こそ"オピニオンリーダー"として相応しいし、ついていくに値する信頼のおける人物だと思う。
固より、博識で洞察力に優れているというのはもちろんだけれども、私が内田樹の書籍を読み続けるのはそういうことだ。

また、私は彼の本は特に高校生〜20代のうちに読んでおくべきだとも思っている。それは、"批評的なものの見方"のお手本になりうるからという理由に加え、ニュースの解説としても優れていると思うからだ。
彼の、政治と民衆をつなぐロジックは素晴らしい。政治が小市民にとっていかに大事であるか、政治に参加しないとはどういうことを意味するのかを丁寧に説明してくれる。若者にとって、ニュースは情報量が多すぎてどこから手をつければいいのかが見えにくい。それこそ、情報の取捨選択をしようにも、その基準が出来上がっていないので呆然とする。
そんな中、内田樹の本は(特に政治に関しては)何に注目すべきなのかがクリアになっており、またそれを(彼の意見がふんだんに盛り込まれてはいるものの)まるでキレイにお弁当箱に詰めるかのようにまとめている。だから食べやすい(読みやすい。読みやすいと理解しやすいは違う。彼は、安易に理解しやすくすることを危惧している)。
かなりのペースで出版されているので、なかなか追いつけないこともあるけれど、文体は読みやすく、1日で読めます。
長生きしてたくさん本を書いてくれるといいなぁ。会ったことはないけれど、数少ない私の師の1人です。
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