ひとりと、『あの日、選ばれなかった君へ』
「ひとりと、」シリーズの概要は以下投稿の前書きにて
本を読むとき、小説であれエッセイであれ、登場人物が自分に重なる瞬間がときどきある。そうなってしまうと自分をかえりみる時間が必要で、それが本を読む速度をゆるやかにしていく。その書き手と読み手の共同作業のような時間がたまらなく好きで、だから私はいつも本を読むのが遅い。誰かの書いた本が、私より私を知っている。私に向けて書かれたはずなどないのに、「なんでわかるの?」と問いただしたくなる衝動に駆られる。その高揚をたしなめるようにペー