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マスクの有効性を否定する論文と肯定する論文

※一番下に宝塚の宮澤大輔医師が書いた論文が欧州CDCのマスクガイドラインに載ってることを紹介してます!すごくないですか?


マスクの有効性を否定に使われる論文の質の低さ

まず反マスク派の石井仁平氏などが主張するマスクに効果が無いという根拠の論文ピラミッドの上からトップ2(メタアナリシスとRCT各1つ)に関して解説していきます。結論から言うと2つとも質が低くマスクの有効性を否定する根拠にはなりません。

まずの頂点の根拠とされるオレンジ色で囲われた「インフルエンザ '20.5」と書かれたメタアナリシス(色んな研究を混ぜて一体化させて判断)https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/5/19-0994_article#tnF2ですが、デザインが全く違う研究をまとめてしまっていることでこのメタアナリシスは無価値です。学生寮のホールのみでのマスク着用の有無と、インフル確定後の家庭内マスク着用有無なんて混ぜたら無茶苦茶です。この根拠の頂点との香港メタアナリシスは無価値です。このことは石井医師の仲間の反マスク派の統計学者も認めています。

また、そのメタアナリシスの主要パーツの論文自体にも問題があります。

次に赤で囲われた「新型コロナ '20.11」と書かれた、マスクの有無で有意差無しとしたデンマークのRCTについては以下をご覧ください。研究に使われた抗体検査は特異度99.2%ということは、偽陽性が0.8%あるということ。今回の研究では陽性率が約1%だったのですが、これは陽性判定された例のほとんどが偽陽性で間違って判定されたものである可能性が高いわけであり、この論文も無価値なゴミと言える論文です。


マスクの有効性を支持する論文

まずマスク効果(16%-24%)を支持するメタアナリシスも、残念ながら先述と同様の理由で無価値で根拠にはならないと認めざるを得ませんでした。つまりマスクに関してのRCTは困難なため質の良い研究の数が少なく、メタアナリシスは困難だということになると思います。

https://www.nature.com/articles/s41398-022-01814-3.pdf

しかし最も権威のあるサイエンス誌に掲載された2020 年後半にバングラデシュで実施された大規模かつ適切にデザインされたRCTによると、マスクの介入を受けた村では、SARS-CoV-2の有症状血清有病率が比較村に比べて約9%減少。サージカルマスクに無作為に割り付けられた村では,SARS-CoV-2の症候性有病率は有意に低かった(全体で11.1%の減少、高齢者では35.3%の減少)

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abi9069

このサイエンス誌論文に問題があると指摘する論文がありますが、その指摘論文は一理あるものの、理論性に問題もあり、サイエンス誌論文を完全に否定できるものではありませんでした。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9479361/

特に布マスク含めず、サージカルマスク限定で高齢者限定の35.3%減少は25%-45%くらい誤差幅があったとしても最低25%程度は感染予防効果があったという根拠になると思います。

2023春を目途に新型コロナを5類にして、室内マスク推奨も撤廃するかどうかという議論が去年予言した通り出てきました。マスクには一定の(恐らく2割程度は)感染予防効果が見込めるという前提で、推奨をどのタイミングでやめるのか、感情的感覚的でなく、理論的に議論してもらいたいと思います。オミクロンは従来株より17.8倍も唾液にウイルスが出やすく、マスクの重要性は増していると思います。
https://research-er.jp/articles/view/118243


その他のマスクの効果を支持する論文

CDCのマスク効果を示す論文サイトを紹介しておきます


・また、USSセオドア・ルーズベルト船船で発生した集団感染の研究では、船内でのフェイスカバーの使用により、感染リスクが70%減少したことが明らかになりました。38

・SARS-CoV-2感染者が1名以上確認された北京の124世帯を対象とした研究では、指標となる患者とその家族が症状が出る前にマスクを使用することにより、世帯内での二次感染を79%減少させた39。

・マサチューセッツ州の公立K-12学区8校(在籍生徒数33,000人超の70校)を対象に2020-21学年度のSARS-CoV-2二次感染率を調査した結果、マスクなし相互作用では調整前の二次感染率が11.7%、マスク付き相互作用では1.7%であることがわかりました40。

・タイで行われたあるレトロスペクティブケースコントロール研究によると、コンタクトトレーシング調査の一環としてインタビューを受けた1,000人以上の人のうち、リスクの高い曝露の際に常にマスクを着用していたと答えた人は、こうした状況下でマスクを着用しなかった人に比べて、感染症にかかるリスクが70%以上減少したことが報告されている41。

・デルタが米国で優勢に循環していた2021年7月15日から8月31日の間、アリゾナ州マリコパ郡とピマ郡で対面式学習を開いているK-12公立非チャータースクールの約5校に1校が、学校関連のアウトブレイクを経験した。マスク着用義務のない学校では、発生率が3.5倍高かった(調整オッズ比3.5、95%信頼区間1.8-6.6)42。

2021年7月1日~9月4日に収集されたデータの全国分析では、学校マスクの要件を持たない米国の郡では、学校マスクの要件を持つ郡と比較して、学校開始後に小児COVID-19患者率が大きく増加しました(10万人あたり18.53人/日の増加)43。

・地域レベルの分析では、統一病院システム47、ドイツの都市48、米国の2州49、50、米国15州とワシントンDCのパネル51、52、さらにカナダ53と米国54-56の全国レベルで、少なくとも10の研究でユニバーサルマスキングの有益性が確認されている。各分析では、組織や政治的リーダーシップによるユニバーサルマスキングの指示に従い、新規感染者が大幅に減少することが示された。これらの研究のうち2つ51, 52と、米国を含む200カ国のデータの追加分析56でも、死亡率の減少が示された。

マスクの子供の弊害

子供の情操教育上の問題
マスクが言語や情動の発達に与える潜在的な影響については、いくつかの研究で検討されている。83-89 一部の研究では、子どもや大人、特に幼児(3-5歳)は、マスクで下顔面を覆った人の写真に写る顔の特徴から感情を推測することが困難であると示唆されている83。しかし、7歳から13歳の子どもを対象とした研究では、マスクで顔の下半分を覆ったときに観察される感情推論の低下は、サングラスで目を覆ったときと同等であるとしており、他の文脈的手がかりとの組み合わせにより、マスクが子どもの社会的相互作用に深刻な障害をもたらすことはないとの結論に至っている。84 2歳児を対象とした研究では、マスクなしで提示された言葉や不透明なマスクを通して聞いた言葉を認識することができると結論付けている。85 自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもにおいて、肯定的強化やマスク着用を指導する介護者を含む介入により、参加者のフェイスマスク着用能力が向上した86-88 これらの結果は、マスク着用が難しい子どもでさえ、的を絞った介入により効果的に着用できる可能性があることを示唆している。

欧州CDCのガイドライン

オミクロン期のマスクについて

https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/Considerations-for-use-of-face-masks-in-the-community-in-the-context-of-the-SARS-CoV-2-Omicron-variant-of-concern.pdf

それ以前のガイドライン(No.12の引用文献、宝塚CDCが書いた論文です!査読通すモチベーションが下がってしまいましたが…すごくないですか?)

https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/covid-19-face-masks-community-first-update.pdf




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