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原田ひ香さんと、けんごさんと「宮崎最奥の村」でお話してみた。

第5回宮崎本大賞実行委員長を務めております、小宮山剛です。

私は宮崎本大賞の一員であると共に椎葉村図書館「ぶん文Bun」のクリエイティブ司書でもあるわけですが、2023年の秋のこと、二つの立場をうまく組み合わせたイベントが実現しました。

作家・原田ひ香さんと小説紹介クリエイター・けんごさんのトークショー

第4回宮崎本大賞を『三千円の使いかた』で受賞された原田ひ香さんの再来宮・・・しかも県内最奥部である椎葉村までお越しくださる機会を創出できました。さらには「小説について語りつくすトークショーにしたい」ということでお招きしたのが、小説紹介クリエイター・けんごさん。

日本三大秘境と呼ばれる宮崎の山村に、日本中でも稀有なトークショーが実現しました。

お二人とも「椎葉村は意外と近かった」とのこと(笑)

どうして、宮崎の山村で著名なお二人をお招きしてイベントを開催するのか。その理由については、宮崎本大賞実行委員長である小宮山剛個人のnoteに書き起こしております。

🖊トークショー「なぜ小説に生きるのか」をふりかえる

開催意図や企画の狙いどころについては上記noteをご覧いただきつつ、本記事ではトークショーの振り返りを書き改めていきたいと思います。トークショーが開催されたのが2023年10月28日なので、ちょうど一ケ月が過ぎたところ。いや~、図書館の中にいるといまだにお二人の声が聞こえてきそうなくらい。それくらいに思い出深いイベントでした・・・。

福岡から自動車でお越しくださったと話す、けんごさん

冒頭からけんごさんの「原田ひ香さんとのとっておきエピソード」にて盛り上がるトークショー。『ほろよい読書』をめぐる、青山美智子さんも加わっての「偶然」が素敵でした。

第1回宮崎本大賞を青山美智子さんが受賞されていること、また椎葉村図書館「ぶん文Bun」でもオンラインイベントを実施していただいていることなどからチョイスしていただいたであろうエピソードが嬉しかったです。

トークショー中には、さすが小説紹介クリエイター・けんごさんということで、原田ひ香さんの『三千円の使いかた』紹介動画をお披露目していただく場面もありました。

「はじめて現金を手に撮影しました(笑)」とおっしゃる動画は、YouTubeやTikTokにも掲載されています。本記事を書いている時点でYouTubeの再生回数をみると、約150万回再生されていますね!

あえて、中高生や大学生の方々に向けて「今、読んでください」と断言された紹介動画。お若いタイミングで『三千円の使いかた』を読むことが「生涯の財産になります」というメッセージは、小説の力そのものを表しているようでした。

けんごさんも「独身のときと結婚した後とで違う」読み応えがあったという『三千円の使いかた』。小説が人を変えることがあるのと同時に、人が小説を変えることもあるんだなと感じました。それって、小説の楽しみ方は無限大だということですよね。

椎葉村図書館「ぶん文Bun」のキャパいっぱいにお集まりいただきました

🖊「好き」ってむずかしい

けんごさんにとっての『白夜行』がまさに小説紹介クリエイター人生の始まりであることや、原田ひ香さんが『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に村上春樹氏の小説を書く行為そのものに迫る部分を感じていらっしゃること。・・・そんなお二人の小説観を伺っているときに、我々宮崎本大賞にとっても興味深いトークテーマが浮かび上がりました。

それは「好きなものを紹介するって難しい」ということ。

動画で紹介する小説は「好きなもの」だというけんごさんに対し、書評なども手掛けられる原田ひ香さんは「それって実は難しいことですよね」と御反応。たしかに「限界ヲタク」じゃないですけれど・・・好きなものこそ説明するのが難しかったりしますよね。

わたし達宮崎本大賞も「好き」という言葉に燃えていて、その合言葉は「好きなページはありますか。」なのです。まさに好きなものをおすすめし続ける賞として存続していくことの難しさを自問しながら、トークショーは「小説の未来」についての話題へと運んでいきました。

🖊「なぜ小説に生きるのか」を考えながら思う、小説の未来

トークショーの終盤、原田ひ香さんとけんごさんとがお互いに質問してみたいことを尋ね合うコーナーにて。「小説の未来」についての話題が持ち上がりました。

このイベントのテーマが「なぜ小説に生きるのか」であったこともあり、お客さま達も、そして司会の小宮山も固唾をのみながら「小説の未来」に対する答えを見守りました。

けんごさんは「若者の読書ばなれは嘘だと思う」ときっぱり。読書にふれていない人が増えているというのは、読書にふれるためのきっかけが無いからだとおっしゃっていました。

まさに多くの方にとっての「きっかけ」を生み出し続けているけんごさんの、説得力大有りな一言。「きっかけの問いかけ」としての「好きなページはありますか。」を標榜している私たち宮崎本大賞にとってもなんだか誇らしく、力強いお言葉でした。

そして原田ひ香さんからも、小説の未来について力強いコメントをいただきました。

映画や他のエンターテインメントが増えて小説と対抗しているかのように話されるが、どんなエンタメでもその根底には「物語」がある。そしてその物語を伝える方法として一番原始的でとりかかりやすい形態こそが小説である・・・。

つまり「小説という物語の原型はいつまでも不滅である」。そんなお声をいただくことができました。

トークショー後はファンの方と談笑する時間がたっぷりと

🖊小説で何を伝えたい?

トークショーの最後も最後、けんごさんから原田ひ香さんに「小説で何を伝えたいですか?」とのご質問。

応えは意外というか想定どおりというか「楽しんでもらえばそれでいい」というものでした。

けんごさんも「実はそれが一番難しいこと」と返されていましたが、楽しめるものを原始的な物語のかたちで生み出していく小説家さんという存在の尊さを、改めて感じたところです。

そしてもちろん小説家さんだけでなく、本という物語の塊が生まれる現場に立ち会うすべての人々に拍手を贈りたくなるような気持ちになる。そんな「なぜ小説に生きるのか」を語り合ったトークショーの最後でした・・・。

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トークショーの最後には、原田ひ香さん・けんごさんの今後の活動をお尋ね。これからもたくさんの物語を生み、伝えていかれるお二人のますますのご活躍をお祈りしつつ、椎葉村までお越しくださったことに改めて感謝申し上げます。

≪原田ひ香さんお知らせ①≫
2023年11月1日から、日本農業新聞にて『一橋桐子(79)の相談日記』連載開始!

≪原田ひ香さんお知らせ②≫
2023年12月15日発売の『婦人公論』から新連載『月収』開始!

≪けんごさんお知らせ①≫
「小説紹介クリエイターけんご」として『江戸川乱歩 傑作選』を発売!


🖊アーカイブ動画もぜひご覧ください

2023年10月28日に開催されたトークショー「なぜ小説に生きるのか」は、アーカイブ動画をけんごさんのインスタグラムに残していただいています。

お見逃しの方はぜひご覧ください!

また今回のトークショー開催にあたり、書籍販売についてはTSUTAYA BOOKSTORE 宮交シティさんにご協力いただきました。宮崎市で本をお買い求めの際は、ぜひご利用くださいませ。

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さて、第4回宮崎本大賞を受賞された原田ひ香さん×けんごさんトークショーについてのふりかえり記事をお届けいたしました。

第5回宮崎本大賞の受賞者様ともこのような素晴らしいイベントを開催できますようにと祈りつつ、第5回ジッコウイインチョは引き続き邁進いたします!

どうぞ宮崎本大賞のX・ツイッターをフォローいただきまして、ご声援いただけますと幸いです!


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