「龍神さまの言うとおり。」第九話
歌舞伎町の中でもシックな雰囲気のあるラブホテル。そのエンストンスから中に入り、指定した部屋の階でエレベーターを降りた二人は、無言のまま、その部屋へと向かった。
洋介がドアを開けて中に入ると、二人は待ち切れなかったように、すぐさま持っていたバッグを床に下ろし、まるで磁石が引き合うように、お互いの唇を重ね合わせたのだった。
今この瞬間に、ふたりの間を遮るものは何もない。心も体も、その解放感に満たされながら、互いが体の感触を確かめるだけに、今という時間を共有していたのである。