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連続小説「東京恋物語」

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青年タクシードライバーが出会った女性は、なんと超有名な女優だった。偶然の出逢いが巻き起こす恋の行方は・・・。恋は心のオアシス。そして無敵!
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#ラブストーリー

「東京恋物語」第二話:迷宮の中へ

爽やかな風とともに、桜の花びらが路面に舞う午後の青山通り。 赤坂郵便局を右折し、六本木交差点へ向かう白いベンツは、ゆっくりとスピードを落とし、左に見えるオフィスビルの玄関口で停まった。そこには、宮野浩介が経営するIT会社、エムケーフォースが入居している。 専属運転手の坂本憲次は、車を降りると手なれた動きで、後部座席のドアを開けた。そして間もなく、待っていたかのように、白いピンストライプが印象的な濃紺のスーツを着こなした細身の男性が、携帯電話を耳にあてながら現れた。宮野である。

「東京恋物語」第七話:秘密の錬金術

午後六時。 祐太郎は、ホストクラブ・ゼウスのカウンターにある機械にタイムカード差し込むと、内勤のトシヤから、今日もトイレ掃除から仕事を始めるように指示された。 「ユウ、昨日と全然イメージ変わったじゃん。それじゃあ、初回の女の子が来たら、ユウには多めに接客チャンスあげるから、飲み直しで指名入るように頑張れよ」 飲み直しとは、格安料金で入った女性客が、制限時間終了後も、ホストを指名して飲み続けることを意味する。つけ回し担当であるトシヤは、そう言うと、祐太郎の背中を軽く叩いた。 軽