国際司法裁判所でイスラエルのジェノサイドを告発し、即時停戦を求める南アフリカの弁護団
南アフリカは11日、ハーグの国際司法裁判所で、判事たちにイスラエルが交戦地域で攻撃停止を求める命令を出すように要請した。南アフリカの弁護士は「イスラエルの指導者たちは明確に大量虐殺の意図を表した」と、イスラエルの国会議員たちがガザを平らにし、消し去ることを明言したと訴えた。
南アフリカ代表団の口火を切ったのは、アディラ・ハースィム弁護士だった。彼女は南アフリカのムスリム家庭の出身であることがその名前からうかがえる。南アフリカの人口は5,900万人で、ムスリムは全人口の1.5%ほど。多くは南インドの出身で、南アフリカに来てからイスラム神秘主義に帰依した人が多いが、反アパルトヘイト運動では重要な役割を果たしている。
ハースィム弁護士の議論は1948年のジェノサイド条約第2条に照らし合わせて行われた。第二条には次のように書かれている。
第2条
この条約では、集団殺害とは、国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもつて行われた次の行為のいずれをも意味する。
(a) 集団構成員を殺すこと。
(b) 集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること。
(c) 全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること。
(d) 集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること。
(e) 集団の児童を他の集団に強制的に移すこと。
ハースィム弁護士はイスラエルがジェノサイド条約第二条に違反していることを明確に述べた上で、ガザ地区の現状について説明している。
ガザ地区は1967年以来イスラエルが占領しているパレスチナ人地域の二つの構成要素のうちの一つであり、365平方キロメートルの細い帯状の地域であること、イスラエルはガザ地区の空間、領海、陸路での移動、水、電気、電磁界、民間インフラ、さらには政府機能までコントロールしている。イスラエルはガザへの空路と海路による移動を禁じ、唯一の陸路でのルートも厳格に支配している。
ガザは世界で最も人口密度の高い場所の一つであり、約230万人のパレスチナ人が居住しており、その半分が子どもたちだ。過去96日間イスラエルは現代の戦争史上、最も大規模な通常爆撃を行ってきた。ガザのパレスチナ人たちは、空、陸、海からイスラエルの兵器によって殺害され、継続するイスラエルの包囲、パレスチナ人の町の破壊、パレスチナ住民たちに対する不十分な援助、またこの限られた援助物資ですらイスラエルの爆弾が降る中で住民たちに配分することが困難になっている。
イスラエルの大量虐殺はジェノサイド条約第二条a項に抵触するものだ。過去3カ月にわたってイスラエルは23,210人のパレスチナ人を殺害し、その70%は女性と子どもと見られ、さらに7000人が行方不明で、行方不明者は瓦礫の下敷きになって死んだと考えられている。ガザのパレスチナ人はどこへ行っても容赦ない爆撃にさらされている。彼らは自宅で、避難先で、病院で、学校で、モスクで、教会で、そして家族のために食料と水を見つけようとして殺されている。彼らは、避難先で避難しなかった場合や、イスラエルが宣言した安全なルートに沿って逃げようとした場合でも殺害された。殺害のレベルが非常に広範であるため、発見された遺体は共同墓地に埋葬され、多くの場合は大学に埋葬されている。
11月10日、国際司法裁判所の審理が始まる前日に、イスラエルの与党リクード党員であるニッシム・ヴァトゥリ氏は、ガザには「罪のない人々はいない」と述べた以前の発言を強調し、ハーグに出席することは自国にとって「特権」だと述べた。
以上がハースィム弁護士のガザの現状に関する説明(抄訳)だが、大量虐殺事件は証明が難しいことで知られ、解決までに何年もかかることがあるが、南アフリカは裁判所に対し、「暫定措置」を迅速に実施し、ガザ地区でパレスチナ人を殺害し、パレスチナ人に深刻な精神的および身体的危害を即座に与えることをやめるようイスラエルに命令するよう求めている。イスラエルのガザ攻撃は女性や子どもの犠牲者が多いように、またガザ地区の人口の1%(2万3000人)という多数の犠牲が出ているように、ジェノサイドに相当するのは明らかに思え、即時停戦の命令を出すように国際司法裁判所に訴える南アフリカの主張は極めて真っ当なものだ。
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